刀姫in世直し道中ひざくりげ 鬼武者討伐編

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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ92~最終話

 元々感情を表現するには難しい般若顔の韋駄地の表情が、恐らくは僅かに痛みによって苦しんで見えた。「儂はこの突き刺した剣で其方の心臓をこれより貫く。さすれば其方の命は確実に絶たれよう...何か、この世に言い遺すことは無いか?」 仙花の言った言...
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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ89~91

 源蔵に言われた紗夜は素直に従い、部屋の障子を閉め部屋の中へ入る。 韋駄地家の長女とはいえ紗夜は未だ十二歳。父、蔵之介の余りにも残酷な話しを耳にして、さらには兄が父の命を奪おうという衝撃的な場面に兄を止めたことは、奇跡に等しい行動であった。...
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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ86~88

  大好きだった父親のあり得ない言葉に韋駄地の心は凍り愕然とする。「ち、父上は、な、何を言っているのだ...」 韋駄地の脳内が地震を体感するかのようにグラグラと揺らぎ、目に映っていた景色が別世界の如く一変した。  もし、父親の言った文言を鵜...
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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ83~85

 病によって弱りきった少年を相手に傲慢な態度であった男が、突如としてあり得ない姿に豹変した少年を前におののく。「お、お、お前のその異様な姿は一体全体何だってんだい...まるで得体の知れねぇ化け物じゃねぇか!?」 今更だけれど男の名は秤度斉次...
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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ80~82

このあと紗夜は足早にその場を去り、結局のところ会話を交わしたのはそれだけである。 けれども正体不明の病を患い、一生分の辛い想いを経験した少年にとって、極めて幸福かつ十分過ぎる出来事であった。 彼女のたった一言でどれだけ絶望から救われ希望を持...
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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ77~79

 人と、得体の知れぬ怪異との非現実的な命懸けの契約。 幼き頃より「鬼」と契約したであろう韋駄地が、果たしてどういった経緯でそれを成した得たのか?それとも、自らの意思とは無関係に結んでしまったのか?いずれにしても当の本人に訊かなければ謎のまま...
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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ74~76

「特別な怪異を身に宿す...おもしろいな」 蓮左衛門の返答に疑問に思える部分が他にもあったけれど、仙花はやはり特別な怪異」に喰い付き興味を示した。 そもそも「怪異」とはいったいどのようなものなのだろうか? 怪異という言葉は現実にはあり得ず説...
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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ71~73

 「...こやつ...己の世界に浸っておるのか...」 寂しいかな。完全に存在を忘れられた仙花。黙して足元の瓦屋根の瓦を徐に一枚抜き取り...「こらこらこら、儂を無視するでなーーーいっ!!」「ブン!」 一人ごとを続ける韋駄地に狙いを定めて思...
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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ68~70

 蛇腹の中央社前では、蓮左衛門と鷲尾雷角による激しい、否、一方的な一騎討ちが展開されていた。「わっ!?っと!」「ズン!!」 芥五人衆最後の生き残り鷲尾雷角が扱う六角金棒は巨大な鉄の塊のような物であり、それを人間が扱えるなどとは到底思えぬ重さ...
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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第3話 芥藻屑との戦 ノ65~67

 韋駄地が長槍を雑に放り投げ、先程抜いた刀一本で構えを取る。 「貴様は殊の外素早い。この刀で勝負するとしよう」 相手の実力を認めたのは仙花だけではなかった。 彼女の速い動きに対応するには攻撃範囲の広い長槍も、速く鋭い攻撃を展開できる刀が適当...