建設業経理士1級 試験対策 自己流まとめ 財務分析単語集④

建設業経理士試験攻略 自己流!
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経営事項審査

建設業における企業経営の総合評価には、「経営事項審査」(いわゆる経審)がある。

国、地方公共団体、公団等の発注する建設工事、すなわち公共工事については、一般に競争入札が採用されてきているが、この入札に参加する資格を客観的に評価する必要がある。経営事項審査は、このような競争入札の制度に参加する資格を判定するために実施される企業評価制度として確立されている。

経営資本

経営資本とは、企業の総資本のうちで本来の営業活動に使用されている部分をいう。それは、総資産額(総資資本額)から、営業活動に直接参加していない投資資産や繰延資産、あるいは営業活動にまだ参加していない建設仮勘定の額を控除することによって算出する。実質的な総資本といってもよい。

経営資本=総資産(総資本)-本来の営業活動に投下されていない資産(資本)

経営資本営業利益率

経営資本営業利益率(%)=営業利益÷経営資本×100

経営資本回転率

経営資本回転率(回)=完成工事高÷経営資本

経営資本回転率とは、経営資本に対する完成工事高の比率をいい、経営資本が1年間に何回転したかを示すものである。

経営資本利益率

経営資本利益率(%)=利益÷経営資本×100

経常利益

経常利益とは、営業利益に受取利息等の営業外収益を加え、他人資本利子を含む営業外費用を向上したものをいう。生産、営業、管理、財務等、企業の経常的な活動のすべてを総括した成果を表示する利益概念である。わが国の企業会計原則は、昭和49年の改正まで、この経常利益を「当期純利益」とする当期業績主義を採用していた。

経営利益増減率

経常利益増減率(%)=(当期経常利益-前期経常利益)÷前期経常利益×100

限界利益率

売上高に対する限界利益の割合のことを指す。つまり、売上高が増加したときに、限界利益がどれだけ増加するかという割合を示す。固定費が売上高とは無関係に一定であるため、限界利益率こそが売上高の増減に伴う企業の利益の増減そのものとなる。つまり、限界利益率の高い会社は、限界利益が大きいということとなるので、限界利益率は高ければ高いほど良いということがいえる。

原価差異分析

原価差異分析とは標準原価と実際原価の差異を分析すること。 標準原価とは、計画上の原価。 実際原価とは、実際にかかった原価。 計画よりも、実際にかかった原価が高いと、利益がその分、少なくなり、 原価は企業の利益に大きく影響する項目である。

現金及び現金同等物

現金とは、他人振出の小切手、預金手形、郵便為替証書(普通為替および定額小為替)
、配当金領収書、公社債の支払期日到来後の利札などをいう。

現金同等物とは、現金同等物とは、容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資をいう。 現金同等物は、この容易な換金可能性と僅少な価値変動リスクの要件をいずれも満たす必要があり、市場性のある株式等は換金が容易であっても、価値変動リスクが僅少とはいえず、現金同等物には含まれない。 作成基準注解では、現金同等物の例として、取得日から満期日又は償還日までの期間が3か月以内の短期投資である定期預金、譲渡性預金、コマーシャル・ペーパー、売戻し条件付現先及び公社債投資信託を挙げている。

現金比率

現金比率(%)あるいは現金預金比率(%)=現金あるいは現金預金÷流動負債×100

これらは比較的短期の支払債務たる流動負債に対する支払能力を現金もしくは現金預金に限定した比率であり、流動比率の一種の内訳比率である。

現金預金手持月数

現金預金手持月数(月)=現金預金÷(完成工事高÷12)

運転資本よりもっと具体的な指標として、最も確実な支払手段たる現金預金の手元保有程度を示したのが、現金預金手持月数である。これは、完成工事高の何カ月分の現金預金があるかということをあらわすものである。工事が完成したということは、それにともなって工事代金の支払いも発生するわけだから、現金預金手持月数が多ければ多いほどその支払能力はあるということである。

建設業の特性

○受注請負生産業であること

建設工事は、建設業者が発注者から個別に請負として受注をするのが原則である。いわば規格品を大量生産する経営ではなく、個別に受注する経営形態というのが建設業の特徴である。健売住宅の建築のように、規格品を生産して販売する形態のものもあるが、これは不動産業として位置づけられているもので、大部分のケースは個別受注生産だるところから、商品、製品等棚卸資産は経営の基本財産ではない。

○公共工事が多いこと

建設工事は、発注者からの受注、いわゆる請負によってその業務が始まるが、その発注者が政府、地方公共団体、公益法人等である公共工事の比率が高いことも大きな特注である。このような公共的な工事の発注には、いわゆる入札制度があり、建設業独特の企業行動を育成してきた。

○生産期間(工事期間)が長いこと

受注生産業は、大量見込生産方式を採用できないから、比較的生産期間の長いものが多いが、建設業は、受注から完成引渡しまで1年を超える工事期間をもつ工事を抱える企業が特に多い。このため、財務会計上は、工事進行基準といった例外的な収益認識方法を取り入れるなどの工夫を余儀なくされている。

○定額(総額)請負契約が比較的多いこと

建設業の業務は通常、発注者と建設業との間の契約に基づいて着手される。この請負契約は、工事内容、請負代金の額および支払方法、工事着手、完成の時期等を記載した契約書の形態をとる。なお、請負代金の額は、実費保証契約(工事原価に一般管理費および利益を保証する契約)によることもあるが、多くのケースでは総額請負契約方式がとられている。

○単品産業であり、移動産業であること

同じ受注産業とはいえ、造船や飛行機造船とは異なり、高層ビルの建設やトンネル・ダムの建設にみられるように、単品産業であり、かつ移動産業であるとの特徴がある。同一の土地には、一つの建造物しか建てられない。

○屋外・天候等の自然条件に左右される産業であること

建設工事の中には、トンネル工事等のように特殊なケースを除き、大部分の建造物は屋外に建設され、それ故に天候に左右される産業である。

○下請制度に依存することが多いこと

建設業の特徴として下請依存制度の存在が指摘されよう。一般の総合建設会社は建築・土木工事を問わず、工事を請負うと工事ごとに数多くの専門の工事業者である下請業者に発注し、その下請・協力業者に完成を依存することが多い。一般の総合建設会社の外注費比率は6~7割に達している。

○中小企業に下支えされる産業構造であること

建設業者の数を国土交通省総合政策局建設業課の公表資料によってみると、建設業者の大部分は中小企業である。

建設業の付加価値

建設業の付加価値=完成工事高-(材料費+外注費)

※外注労務費は外注費に含める。

健全性分析

企業財務の安全性もしくは安定性は、財務の流動性とともに、資本構造の健全性によって支えられている。資本構造の健全性とは、資本の調達と運用における財務のバランスの良否に関する問題である。まず、資本の調達においては、自己資本と他人資本とのバランスが大切である。次に、その運用面では、特に有形固定資産と長期的な調達資本とのバランスが問われる。

考課法

考課法とは、いくつかの適切な分析指標を選択して、各指標ごとにどの程度の範囲なら何点かの経営考課表を作成しておき、この表の中に各企業の実績値を当てはめて評価しようとする方法。

公共工事

公共工事とは、国や都道府県、市町村などの国の機関や独立行政法人などが発注者となる公益工事のこと。 社会公共の利益を図るための事業である公共工事については、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律や建設業法等で決められている。 公共工事には、道路や港湾、河川などの整備を行う土木工事や修繕リフォームなど営繕 (えいぜん)工事などがある。

構成比率分析

構成比率分析とは、全体数値の中に占める構成要素の数値の比率を算出して、その内容を分析する手法であり、百分率法とも呼ばれている。具体的なれいとしては、百分率損益計算書、百分率貸借対照表、百分率キャッシュ・フロー計算書、百分率製造原価報告書(建設業では工事原価報告書)等がある。

高低2点法

高低2点法とは、二つの異なった稼働水準(操業水準)における費用額を選定して、その差額の推移から固定費部分と変動費部分を区分する方法である。変動費率法と呼ばれることもある。

固定資産

固定資産とは基本的に1年以上保有・使用する資産のことを指す。法人税法では有価証券・棚卸資産・繰延財産以外の資産の中でも、土地・減価償却資産・電話加入権に加え、これらに準ずるものが固定資産に分類されると定義されている。

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