一輪の廃墟好き

一輪の廃墟好き

一輪の廃墟好き 第87話~第89話「星空」「女将」「天然温泉」

 森を抜け平坦で整った道に差し掛かった時には、辺りはすっかり暗くなり、完全なる夜の様相を呈していた。「一輪、上を見てみて、すっごく綺麗な星空になってるよぉ♪」 ついさっきまで、乙女の恥じらいなど何処ぞに捨てて来たのではなかろうか?などと思わ...
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一輪の廃墟好き 第84話~第86話「たられば」「森を駆ける」「日頃の鍛錬」

 たらればの話しをしても仕方がないのはわかっちゃいるが、生きて普通に生活していれば選択肢がとめどなく現れるわけで、僕達は奇しくもそんな世界の住人なのだから、「たられば」の話を持ち出してしまうことは人として当然の行為であろう。 故にもしも、老...
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一輪の廃墟好き 第81話~第83話「沈黙」「馴化」「頷く」

 ごく普通に現実的な考え方からすれば、幽霊と会話をするためには生存している僕達は良いとして、命を落としこの世の者で無い幽霊側が人間と同じ、もしくは人間に近い声帯らしきものを持っていなければならない。 いや待て、身体の構造などというものを持ち...
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一輪の廃墟好き 第78話~80話「二度目」「老婆の霊」「予想外」

 人魂に関してはかなり古くから書物に登場したり目撃情報やらがあるけれど、19世紀末、イギリスの民俗学者の一説によれば、「戦前の葬儀は土葬であったため、遺体から抜け出したリンが雨の日の夜に雨水と反応して光る現象は一般的であり、庶民に科学的知識...
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一輪の廃墟好き 第75話~第77話「水平線」「夜の海」「人魂」

「一、すまんけどちょっと座って待っとってくれんか」、祖父はそう言って船の狭いエンジンルームに入り故障箇所を探し始めた。 僕は一抹の不安を感じながら船の端に腰を下ろして夕陽を眺める。 上手くいけば長くなるであろう人生において、夕陽が沈んでいく...
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一輪の廃墟好き 第72話~第74話「真鯛」「超大物」「大漁」

「底についたら糸を少し巻かんといかんぞ」と、祖父が歳の所為で細くなった目を僕に向けアドバイスしてくれる。 それを僕は素直に受け入れ釣り糸を軽く巻き、続けて垂らした釣り糸をクイクイッとするように言われ、「手釣り」と呼ばれる手法の釣りが始まった...
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一輪の廃墟好き 第69話~71話「離島」「海と船」「釣り道具」

 僕は結局、田舎の実家に着くまで一睡もすることなく起きていた。  父の実家は鹿児島県のとある離島に在り、最後は一日に4、5回しか往復しないフェリーに車ごと乗り込み、島に入って10分と経たないうちに辿り着いた。 祖父母が子供の時から暮らすその...
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一輪の廃墟好き 第66話~第68話「推理」「絶句」「田舎の実家」

「想いの線」のは一度発動させるとたった一分ほどで具現化した光の線が消え去ってしまう。 決して都合よく無制限に効果を発揮するわけではないけれど、光の線が指し示す距離に関してだけは無制限に伸びるのである。 無制限に伸びる光と聞けば「それは凄い!...
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一輪の廃墟好き 第64話~第65話「調べる」「思念」

 現場を探索すると言っても、焼死体発見当時、警察によってじっくり検証されたであろう現場で何かしらの物証が見つかる可能性は限りなくゼロに等しい。 だが曲がりなりにも探偵稼業を生業とする僕としては幼児期の淀鴛さんのために、是が非でも物証になりそ...
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一輪の廃墟好き 第61話~第63話「例の方」

「未桜、とても細やかな頼み事があるのだけれど、僕には視えない何かを、僕が視たくない何かを君が見かけたとしてもそこは黙し、よしんば現場検証が済んだあとで伝えてくれないだろうか?」 例えば、霊感の強い未桜がこの不気味な雰囲気の裏庭で何か視たこと...