世界樹とハネモノ少女  「金髪の少年」

世界樹とハネモノ少女

 アディア王主催の闘技大会は城下町ミシルにあるコロッセオで開催されていた。

 1万人の観戦客を収容するスペースは既に満席になっている。

 ミアもコロッセオ内に入り、200人ほどの出場者の列に並んでいた。

 その列はコロッセオの闘技場まで進み、出場者の全員が集まったところで剣聖七葉のアーダインが壇上に上がる。

 アーダインはシャナンと同年だったが少し老け顔で、体格は筋肉隆々としていた。

「俺は剣聖七葉の一人アーダインだ。これから闘技大会の説明を始めるから良く聞いてくれ」

 出場者のほとんどは集中して聴いているようだが、中には立ったまま寝ている者もいる。

「試合の組み合わせは全て平等に抽選で決められる。200人余りの出場者から8人にまで絞り、決勝トーナメントの頂点に立った者が優勝者だ」

 決勝トーナメンとへ進むためには4,5回の試合で勝利しなければならないという事だ。

「武器は各々が準備した物を使用して貰う。試合は相手が死ぬか気絶した場合と、相手が棄権の意思表示をした時点で勝利とする。もし、相手が気絶するか棄権した際に攻撃を続けた者は失格とし、強制退場になるから覚悟しておけ」

 試合という言葉を使っているが、これは公的に認められたいわゆる決闘なのである。

 説明を終えるとアーダインは壇上から去り、今度はアディア城で受付をしていた女性が壇上に上がった。

「試合場はこの闘技場内に1番から4番の4カ所ある。これから試合場の番号と二人ずつ名前を読み上げるから呼ばれた者は試合場に移動してくれ」

 こうやって女性が名前を読み上げていき、ミアの対戦相手と試合場も決まった。

  初戦の相手はデルガという名の男で普通の民間人の恰好をしていた。

 ミアも特に鎧は付けず普段着を着ていて、はたから見るととても試合に備えた格好には見えなかった。

 審判員が試合開始を告げる。

「用意!始め!」

 開始前に対峙した二人の間には5mの距離があった。

 試合開始の合図直後に電光石火の速さでその距離を一瞬で詰めたミアが、デルガの喉元に銀の剣を突き寸止めして言う。

「降参してくれると嬉しいです」

「ま、参りました」

 勝負は一瞬にして決まった

 これを観ていた観衆から歓声が湧き上がる。

 初戦を早々と勝利したミアが隣の試合場に目を向けると、一人の少年がミアを見ていた。

 目が合い少年が歩いて近寄り笑みを浮かべてミアに話しかける。

「僕の名はフィン。今の試合観てたよ。君、早くて強いね」

 フィンの歳の頃はミアと同じくらいだろうか、金髪で白い肌をしており整った顔立ちで穏やかそうに見える。

「ありがとう、わたしはミアよ。あなたの試合はこれから?」

「いや、少し前に終わったよ。寸止めするつもりが勢い余って殺してしまったけどね」

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