「そうだ!互いに呼びやすいようにわたしの名前を教えておきますね」
そう言えばまだお互い名乗ってさえいなかった。
「僕がキキ、こっちが芹奈でこっちが乙葉です」
「わたしの名前はミューですよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
僕はペコリとお辞儀した。
「あの、海底都市には泳いで通る場所もあるので、出来れば泳げる格好でお願いしますね」
すると女性陣が着ていた服を豪快に脱ぎ出した。
「わたし達は準備済OKでーす!」
乙葉がいの一番に準備完了。
「昨日と違う水着を着て来たわ」
芹奈の水着は水色のビキニにだった。
まぁ見れば分かるが、身体のラインに自信があるらしい。
実は僕も水着を履いていたので準備万端!
「ミューさん!これでいつでも行けますよー!」
と手を振って合図を送る。
「バブル!バブル!バブル!」
ミューさんが言葉を発すると、3人それぞれが透明な球体の中に閉じ込められる。
指で球体に触れると弾力のある水のように感じられた。
「ミューさんこれって何ですか?」
「みなさんを運ぶための水性のバブルです!」
ザックリと説明を受ける。まぁいっか。
「えいっ!」
ミューさんが手からスパイダーマンの出す糸のようなものを飛ばして、三つのバブルに粘着させる。
この糸もきっと水で出来ているのだろう。
弾力性や粘着性のある水をどうやって作るのだろう?
疑問に思うが今は置いておく。
「どっせいやーーーっ!」
ミューさんが顔に似合わない掛け声を上げて、僕達のバブルを同時に引き寄せた。
「う、うおおーーっ!」
「きゃーーーっ!」
「な、何!?」
急激な移動で3人がそれぞれ叫んでしまう。
「パシャ!パシャ!パシャ!」
と音を立てて3つのバブルが海面に打ち付けられる。
ミューさんは水の糸をグルグルと身体に巻き付けて言う。
「ふぅ、これで海底都市に行く準備が整いましたよ」
「ミュ、ミューさん、今度からこんな事をする時は、事前に言って貰えると助かります」
3人とも引き寄せられた時にバブルの回転で目が回っていたのである。
「あ、ああ。びっくりさせてすみません。今度から気を付けます」
「もう大丈夫!行けますよ〜!」
乙葉の回復は意外に早かった。
「ではみなさん。今から海中深く潜りますけど、そのバブルの中なら安心です。海の生き物などを観てお楽しみください」
ミューさんがガイドさんのような口振りで話し終えると、バブルに入った僕達を引っ張りながら海の中に潜って行った。
この場所は海の深さもそれほど無く、海底に到達すると平行に海の沖の方に進んで行く。
周りの魚や珊瑚が綺麗で3人はすっかり魅了されていた。
コメント