「氷よ凍てつけ。氷の剣技!ブリザードラッシュ!」
「出でよ炎!」
フィンが魔法剣を発動させるのとほぼ同時に、ミアが左手に魔法による炎を出現させた!
「シュシュシュッ!」
フィンが剣を振ると複数の鋭利な氷の塊がミアに襲いかかる!
「行っけーーーっ!」
「ボォッ!ボォッ!ボォッ!」
「ジュッ!ジュッ!ジュッ!」
左手から火球を飛ばし、次々に氷の塊を溶かし消して行く!
準決勝と同じ様にミアを消耗させようと連続して魔法剣を放つ。
だが、フィンはその連続攻撃を途中で止めた。
サカズキ戦と違い炎魔法の連発によって疲弊する様子が、ミアの顔からは全く窺えなかったからである。
「やっぱり君は僕と同種の人間らしいね」
突然そんなことを言われたにも関わらず、特に驚きの顔をしないミアが返す。
「そうね。それはわたしも不思議と感じていたわ。でも、今は関係のない話よ」
ミアはそう言って右手に持つ剣を鞘に戻した。
「今度はわたしの番。出でよ炎!」
両手に魔法の炎を出現させ、離れているフィンに向け連続で掌底を突き出し複数の火球を放つ!
「アイスウォール!」
直径1mほどもある複数の火球に、冷静に氷の壁を作り出し防御態勢に入った。
「ゴウッ!ジュウ!」
氷の壁に直撃した火球はすぐには消えず氷の壁を溶かして行く。
「まだまだーっ!」
ミアが氷の壁に留まる火球に覆いかぶせるようにして新たな火球を生み出し放つ!
更に積み重なった火球により、目に見えて氷の壁の溶解速度が上がって行った。
「くっ、これ以上はもたない…氷よ我が身を守れ!」
フィンが咄嗟に叫ぶと氷の粒子が身体を包み込む。
氷の壁を溶かし切った何発もの火球が容赦なくフィンを直撃する!
「ゴォッ!ドドドドド!」
フィンを焼きつかさんと燃え上がる炎に向け、鞘から銀の剣を抜いたミアが駆けだす!
「これくらいで倒れるあなたじゃないわよねっ!」
跳躍して渾身の上段斬りを繰り出した!
「ガァキーン!」
激しく剣のぶつかり合う音が響き、燃え上がっていた炎が弾けるように消滅する! 観戦客からも二人の姿がハッキリと見えるようになった。
「ギリリリィ…」
フィンは片足を地面につけ、双剣の両方を使って渾身の上段斬りを防御していた。
「シュウゥ…」
炎の熱によって蒸発する水の音が聴こえ、フィンの皮の鎧が少し焼け焦げている。
「やるねぇミア。こんなにゾクゾクするのは本当に久しぶりだよ」
「わたしはゾクゾクじゃなくてワクワクしてるけどね」
「あ、そう。じゃあそろそろ君に僕を怖がって貰おうかなっ!」
「えっ!?」
フィンの身体が一瞬「カッ!」と光を放ちミアの身体が宙に浮き吹き飛ばされた!
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