「その特殊部隊を作ってどうするの?」
「ごめん、流石にそれは教えられない。これは王と俺だけしか知らない事なんだ」
「あ、良いの良いの!気にしないで」
「戦争の件を話したのは、ミアが俺にとって妹同然のように想ってるからなんだ。分かってくれるかい?」
「ありがとう…お兄ちゃん」
ミアの頬が少し赤くなり照れている。
「そうだ!シャナン兄ちゃんに見て欲しいものがあるんだった!食事の後に見て貰えるかな?」
「良いけどここじゃ駄目なのかい?」
「うん、室内じゃちょっと無理なんだぁ、だから外じゃないと見せられないの」
「分かった。それじゃあ残りの料理を食べてしまおうか」
二人はテーブルに並べられていた料理を綺麗に食べ終わり、払いを済ませて外に出た。
ミアがキョロキョロして言う。
「あっちの広い場所が良いかも!行こ行こ!」
「おわっ!?」
シャナンの手を握り、酒場前の灯りのある場所へ走って行った。
ミアが腰の鞘から銀の剣を取り出す。
「おっと、剣なんか出してどうするんだい?」
「まぁ見てて」
シャナンが少し慌てたが黙ってミアを見ていると、ゆっくり身体を動かし始めた。
暫く見ていたシャナンが言葉を溢す。
「こ、これは演武…」
シャナンが見た演武は、12年前にジーナとミアの目の前で自身が披露したものだった。
「同じ演武でも女性が実演するとこんなにも美しく綺麗に見えるものなのか」などと思いながらシャナンは見惚れる。
演武が終わりミアがニコッとして問う。
「どうだった?綺麗に見えた?」
「ああ、こんな美しく綺麗な演武を見たのは初めてだ。しかし、たった一度見せただけで習得したのか…」
「へへ、凄いでしょう。初めてお母さんに見せた時は沢山褒められたんだ〜」
「ミア、君は本当に凄いな…」
シャナンは心の底から驚いていた。
「ね、心配しなくても大丈夫そうでしょ?」
「そうだね、たしかに大丈夫そうだ。うん決めた、闘技大会が終わったら俺が稽古をつけてあげよう!」
「剣聖七葉のシャナン統括長直々の稽古かぁ…楽しみ〜!」
このあとミアはシャナンに励ましの言葉を貰い、その場で別れて宿屋へ戻ったのだった。
宿屋の部屋に入ると留守番をしていたレクルがベッドの上にちょこんと座って待っていた。
「お帰りミア!シャナンさんとどんな話しをしたの?」
「ペタリドの話しがほとんどだったかな…あ、あと例の演武を見せたらねぇ…」
ミアはシャナンとの約束を守り、戦争の件以外の事をレクルに話して聞かせたのだった。
いよいよ明日は闘技大会当日である
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