世界樹とハネモノ少女  「決勝トーナメント」

世界樹とハネモノ少女

 決勝トーナメントは2時間ほどの休憩時間を挿んで行われる。

 ミアが個室の控室で昼食を摂り、簡易ベッドで横になっているとドアをノックする音が聴こえた。

「ミア選手!トーナメントの組み合わせが決まりましたのでお知らせに来ました」

「あ、はーい!」

 ドアを開け組合せの書かれた紙を受け取り閲覧する。

  組合せは以下の通りである。

第一試合  ナーシャ VS ジャスカ

第二試合  ミア   VS スレイヴ

第三試合  ヨニバル VS フィン

第四試合  サカズキ VS レグリット

 「…おもしろい組合わせねぇ。」

 ミアは予選で自分の試合以外の時間は他の選手の試合を観戦していた。

 そのため目立った選手の名前や特徴は大体覚えている。

 組合せを見て自分の試合を始め、他の選手の試合までイメージしているようだ。

「フィンと当たるのは決勝かぁ…」

 などと呟きながら闘技場へ歩いて行く。

 休憩時間はまだ1時間以上残っていたのだが、闘技場には観戦客の半分が集まっている。

 軽い運動をしようと闘技場の外周を歩いていると聞き覚えのある声がした。

「ミア~!オレだロガッドだ!約束通り応援に来たぞ!」

 ミアはロガッドの見違えるような姿に驚く。

「ありがとう!でもどうしたのその恰好?」

 元山賊のロガッドは伸ばしっぱなしだった髪や髭を短くし、ずっと洗濯もしていなかったであろう汚らしい服ではなく、綺麗な新品の服を着て応援に来ていたのである。

「いやなに、子分達も連れてアディアの兵士になろうと思ってな」

 ロガッドは少し気恥しそうにして答えた。

「へ~いいじゃない!わたしも頑張って優勝するからロガッドさん達も立派な兵士になってね!」

「おう!任せろ」

 律儀な山賊とのやり取りのあと、ミアは控室に戻りイメージトレーニングに励むのだった。

  2時間の休憩が終わり、闘技場で決勝トーナメントが始まる。

 予選では4カ所の試合場で試合が行われたが、決勝トーナメントでは闘技場の中央で1試合ずつ行われる形となっていた。

 第1試合の当事者であるナーシャとジャスカが5mの間を開け向かい合っている。

 ナーシャの年齢は24歳、アディア城で現職の小隊長をしており、もし剣聖七葉に空きが出れば初の女性剣聖の誕生になるのではないかと噂されるほどの剣の達人である。

 方や対戦相手のジャスカは30歳、民間人で組織された魔物退治請負集団ディブルの団長で、鎖鎌を得意とする魔物退治のスペシャリストとして知られる男だった。

 審判員が予選と同じく試合開始を告げる。

「用意!始め!」

 鎖鎌はつくりからして接近戦には不向きな武器である。

 それを熟知しているナーシャが長剣を振り上げ先制攻撃を仕掛けた! 

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