夢中の少女

夢中の少女

夢中の少女 [警察沙汰!?]

 僕は目の前の炭酸ジュースが入った瓶を取りグラスに注ぐ。 いつも夕飯時になるとビールを呑む父が湯呑みにお茶を注いでいた。 きっと、何かあった時のために備えているのだろう... 美味しそうなご馳走様を前にして、なかなか食べ始めない僕を見て父が...
夢中の少女

夢中の少女 [吉報無し]

急激に食欲が失せ冷蔵庫から何も取らずにドアを閉めた。 テーブル上のザルに盛られたみかんを一つだけ握り、台所を出て冷たい廊下を歩き居間へ戻る。 それからは、こたつに入って何となくテレビを視ていたのだけれど、母のことが気になり内容が全く頭に入っ...
夢中の少女

夢中の少女 [冷蔵庫の中には…]

「うん...分かった。父さんの言う通りにするよ」 本当は一緒に外へ出て母を探したかった。だけど、誰も居ない家に母が帰ることがあれば心配するかも知れない。そう考え父の言うことを素直に聞くことにした。「よし、良い子だ」 父は僕の頭を強めに撫でた...
夢中の少女

夢中の少女 [居なくなった母]

映画のあれって、怒りの感情を特別なパワーに変えて相手にぶつけるようなものだったか?...確か悪役を突き飛ばしたり物を弾くシーンだったような... まぁ映画通りに行くわけは無いのだが、なにかしらのヒントにはなるかも知れないし... ...しま...
夢中の少女

夢中の少女 [ホワイトクリスマス]

日にちが判明しない... もし、あの日だったらどうしよう...という焦りが突き上げる。 あの日は雪が降り積もり、小学生だった僕はこの雪を使って友達とどんな遊びをしようか、などとはしゃいでいたような記憶が残っていた。 小走りで母が現れ、こたつ...
夢中の少女

夢中の少女 [思い出す]

「...うん」「凪くんとね...」 男の人は僕の名前を言ったっきり、言葉に詰まっているようだった。 横に座った女の人が見兼ねて話す。「この人と、わたしと、貴方は、これから三人で一緒に暮らそうと想うのだけれど、凪くんはそれでも大丈夫かな?小さ...
夢中の少女

夢中の少女 [ホットミルク]

話が飛び飛びになってしまうけれど、僕が実の父親と馬小屋の前で別れたあとの話をここらでしておこう... 場面は再び幼い僕の頃に戻る...  実の父親から背中を押された僕は、暗い山道を懐中電灯で足元を照らしながら必至に歩いた。 ようやく辿り着い...
夢中の少女

夢中の少女 [僕の住む家]

そして僕の意識は途切れた。  どれくらいの時が経ったのだろう... 五感の全てが働かない無の状態から意識が戻り、回転の遅い思考が始まる。 瞼を緩やかに開けても、最初はぼやけてほとんど何も見えなかったけれど、目をパチパチ動かすと徐々に鮮明な景...
夢中の少女

夢中の少女 8~9話

「くっ...そ」 止められなかった悔しさで、汚い言葉が口から勝手に出て来る。 気付けば僕の目から涙が溢れていた... 父親のために流す涙があったのか... 僕は暫くのあいだ宙に浮き、呆然としたまま実の父親への様々な想いを頭の中で巡らせていた...
夢中の少女

夢中の少女 6~7話

[許さない...] コイツは車に乗り込み幽体の僕も後部座席に移動する。 すぐに発車するのかと思いきや、コイツは車のガラス窓を開けて幼い僕を見送っていた。 どんな表情をして見送っているのかが気になり、一旦車のドアをすり抜け外に出て確かめると....