僕達の世界線は永遠に変わらない [感情の起伏]

僕達の世界線は永遠に変わらない

幼馴染みの結月とは、幼稚園から小学二年生くらいまでは毎日のように遊んだものだった。
 
 その仲良く遊んでいた時期に、子供の足では決して近くはないこの結月の家へと、何度も足を運んだ記憶が残っていたのである。
 
「飛鳥井さん、ひょっとしてチームのメンバーに品川結月って女性が居ますか?」
 
 結月の名を出すと飛鳥井さんが仰反って驚いた。

「ん~、確かに結月ちゃんはメンバーの一員だけど、もしかして知り合いなのかい?」

「良かった~。あいつ生きていてくれたんだ!」

 知っている人間が生きていて、しかももう直ぐ会えるかと想うと僕の心は急に弾み出した。

「幼馴染みで高校でもクラスが一緒なんです。あいつ、結月は元気にしてますか?」

「…うん。身体的にはたぶん健康なんだろうけど、ちょっと問題があってね。今はどちらかと言うと元気が無いかも知れない。君が知り合いなら元気付けて欲しいな」

 あいつの元気の無いところなんて今まで見たことないんだけど…

「結月に問題って?…」

「あ、ああ。本当は本人から直接聞いた方が良いんだろうけど…君には事前に知っておいてもらった方が良いかもな…」

 聞くのが怖いな…
 飛鳥井の口調と表情から問題の深刻さが読み取れた。

「彼女も君と同じでご両親が行方不明になっいて安否を気遣っていたんだが、昨日、既に亡くなっていることが判明してしまったんだよ」

 予想してたより悪い情報だった。
 さっき弾み出したばかりの心がまた沈んで行く…
 たった数時間のあいだに果たして激しい感情の変化がどれだけあっただろうか?
 2時間映画を観ていてもこれだけ感情が起伏を繰り返すなんてことは無かった。

 結月のご両親にはここを遊びで訪れた際に何度も会ったことがあり、小さい頃の記憶で薄らとだが顔も覚えている。

「それって間違いじゃ…情報のソースはどこなんですか?」

「俺も間違いであって欲しいとは想っているんだけど…先日、メンバーに加わった女性が看護師をしていたらしくてね。結月ちゃんとその女性が会話する中で発覚したのだとか…」

 病院に運ばれて来たのが結月の両親で…とかいうパターンなのかな?…

 この件に関してはとにかく人伝いでは無く、自分の目と耳で確かめたくなってきた。

「大体の事情は分かりました。飛鳥井さん、結月の様子が気になるので早くアジトへ行きましょう」

「そうだな。でも結月ちゃんと話す時はくれぐれも細心の注意を払ってくれよ」

「もちろんです!」

 僕はあいつに早く逢って元気付けてやりたかった。

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