八神が何とかして灰の霧で見えない敵を確かめようと考えていたその時!
「ブワッ!」
恐らく敵のいるであろう位置と柴門の間の灰霧が、不自然な動きで突如として晴れた。
あることに気づいた八神がサッとマンションに目を向ける。
「やっぱり美琴ちゃんか」
そう、灰の霧を吹き飛ばし、一瞬で排除したのは美琴のサイコキネシスによるものだった。
窓から姿を表していた美琴が無言でオーケーサインを八神に出し、敵に悟られないようスッと身を引っ込める。
「で、でけぇな…」
キガイの姿を確認した柴門が見たまんまの素直な印象を呟いた。
それはそうであろう。身体の線こそ細めだがキガイの身長は4mを超える。人間が初めてキガイを目撃したならば、十中八九、物語に出てくるような巨人を連想するに違いない。
同じくキガイを目の前にした八神がゴクリと息を呑む。
「オレはカラス王カラハグの配下キガイだ。正直に答えろ。ここにいるのはお前ら二人だけか?」
声質は低いが良く響く威圧的な声でキガイが問うた。
「…へっ。二人だけだがそれがどうした?」
巨人のようなキガイに臆することなく柴門が答え聞き返した。
「カッカッカッ!そうか、200居たオレの同士達はたった二人の軟弱な人間に全滅させられたのか…」
「そうだ!お前の仲間はたった二人の軟弱な人間にやられちまうほど弱かったということだ!」
柴門の言葉に怒りを覚えたのか、カラハグの眼と違い大きく真っ黒な眼で睨みつける。
「カァァァーーーーーーーーッ!!!」
キガイが突然クチバシを開き凄まじい雄叫びを上げた!
「くっ!?」「わっ!?」
鼓膜を破りかねない大音量の雄叫びと、そのビリビリと伝わる衝撃波を二人が受け、紫門は何とか踏ん張ったが、八神は腰を抜かし地面に尻餅をついた。
「八神さん!大丈夫か!?」
「だ、大丈夫!ちょっとびっくりしただけだよ」
八神を心配した柴門がキガイの方へ向き直る。
「お前ら簡単に死ねると思うなよ。捕まえて生きたままゆっくりと肉を喰い千切ってやる。先に両腕と両足を喰い、最後に頭が残るようにな」
カラハグほどでは無いにしろ、相当な実力を持つことをある程度理解した柴門だったが、心臓が強いのか単に馬鹿なのかやはり怯まない。
「やれるもんならやってみろよ!その前に俺がてめぇを焼き鳥にしてやるぜ!不味いだろうから食いはしねぇけどよっ!」
「ババッ!」
話し終えた柴門が、後ろに手を回しキガイの目に触れないよう発動させていた2発の光球を飛ばした!
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