世界樹とハネモノ少女  「奥義」

世界樹とハネモノ少女

 ナーシャが速いスピードでミアに突撃する!

「突!」

 風の塊が剣先から放たれた!

「出でよ炎!そして飛べっ!」

 ミアが左手に出し炎の塊を風の塊に向け放つ!

「カッ!」

 炎と風の塊がぶつかり合いどちらも消し飛んだ!

 突撃していたナーシャが剣で斬りつけるが、ミアはジャスカの時とは違い自由に動く。

「斬!」

「キィーン!」

 ナーシャの繰り出した一撃をミアが剣で受け流す!

 態勢の崩れたナーシャに返した剣で斬りつける!

「ザン!」

「うっ!?」

 その攻撃に辛うじて反応し避けようとしたナーシャの左肩を切り裂いた!

 たまらず転がってミアから距離を取り体勢を立て直す。

 観戦客らが両者の攻防を讃えた歓声を上げる。

「魔法が使えたのね…私のこの技で倒れなかったのはあなたが初めてよ」

 ミアが褒められてニコッとして言う。

「エヘヘ、ナーシャさんの一回戦の試合を観てたから対策を考えていたんです」

 一度観ただけで技の対策を考えそれを実行したミアの戦闘センスが窺えた。

 ナーシャの左肩の傷口からは血が流れだし、表情も闘いを楽しむ余裕は無くなったように見える。

 二人の試合の観戦を続けていたサカズキが呟く。

「風の剣士さんよ。そろそろ全力で行かないとやばいんじゃねえか…」

 フィンもサカズキと同じく観戦を続けているが、こちらはただ黙って何かを考えながら観ているようだった。

「フゥ~~~」

 ナーシャが大きく息をして次の技を繰り出そうとしている。

 それを見たミアが集中して身構える。

「風よ強く吹け」

 今まで発生させた風の倍ほどの強風を剣と身体に纏わせた。

「風の剣技!奥義!乱風神!」

「ビュウッ!」

 ナーシャが足を使って走るのでは無く、風に乗ってミアに突撃する!

「キッィーン!ズン!」

「え!?」

 最初の一撃を防いだ剣が風に弾かれるようにミアの手を離れ地面に突き刺さった!

 剣を失ったミアにナーシャが容赦なく連撃を浴びせる!

 一振りするごとに剣から強風が放たれミアは思うように回避できない。

 徐々にミアの身体には剣の斬り傷が増えていった。

 回避しながらナーシャの剣を叩き落そうと蹴りを数発放ったが、風が邪魔をして攻撃が届かない。

 追い詰められたミアは一旦距離を取ろうと連続してバク転で後ろに下がる!

 だがナーシャがそれを追って斬りかかった!

「ズザン!」

 ミアの胸の上部分から腹部にかけて切り裂き身体を吹き飛ばす!

「ズン!」

 床にうつ伏せで叩きつけられたミアの身体から血が流れ出す。

 観戦客からは歓声でなく悲鳴が上がたのだった。

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