工事外注費差異
外注は原則として、工種単位で作業を完了することを約束した契約であるから、特に工種別の差異分析を重視する。契約内容は、種々様々であるから、契約単価差異と工期差異とに区分できるわけではないが、外注費管理のためには、このような分析を可能にする標準設定すると契約方式を検討しておくことが大切である。
工事原価
工事を完成させる際にかかる費用のこと。 企業によっては完成工事原価と呼ぶこともある。 工事原価は純工事費と現場管理費の合計であり、あくまでも現場でかかる工事費のことを指す。 そのため、間接部門の経費や営業利益は含まれない。
工事材料費差異
単価×消費量によって決定されているので、差異も価格面と物量面に区別して把握し分析する必要がある。材料については、購入と消費という2つの要素が時間的に明確に区分されていることが多いことから、その時点によって2つの価格差異を計算する場面がある。原価差異は出来る限り早い時期に算出された方がよいから、材料受入(購入)価格差異を求められればこれを算出する方が良い。
工事指図書
工事の概要を書き記した書類のこと。具体的には工事名、受注先、受注年月日、工事期間、工事場所、設計図書、添付書類等を記入する。
工事実行予算
建設業の生産現場は、期間有限の個性をもったものであるために、その原価管理実践は、各工事別に設定される実行予算を中核として実施される。工事別実行予算は、多様な機能を果たすことが要求される。
イ.内部指向コスト・コントロールのスタートとなる。積算に基づく見積原価段階はあくまでも対外的受注促進活動の一環であるが、工事実行予算は、建設現場の作業管理者も「参加」した達成可能な目標原価を中心としたものでなければならない。この意味で実行予算の編成段階は、動機付けコスト・コントロールであり、コントロール活動の出発点となる。
ロ.利益計画の具体的達成を果たす基礎となる。利益計画およびその統制は通常、期間予算を中心に展開されるが、その達成を可能にするのは、建設業の場合、個々の工事による個別利益の積み重ね以外にない。総合的利益計画とのバランスを十分に意識して個別工事の利益目標を確定していくことが大切である。
ハ.責任会計制度を効果的にすすめる手段となる。実行予算は、管理責任区分と明確に対応したコスト別に編成されるべきであり、個別工事での達成目標は、さらに各セクションに細分化してコントロールしていかなければならない。
以上のような機能を果たすべき工事実行予算は、次のような手順によって編成される。
①予算書作成のチームを編成する。偏った編成スタッフは必ず目標達成を阻害する要因となる。
②受注した工事の特徴を整理する。
③対外的「見積書」の特殊事情を抽出するばかりでなく、実行予算との一般的相違点を明確にしておく。
④「見積書」からの組み替え作業をする。
⑤実行予算案を関係部署に回付して必要な調整をする。
⑥実行予算の最終的審査、決裁をする。
工事台帳
原価負担者として特定される工事ごとに、各々の日々の取引を集計できるように工夫された帳簿である。企業が最終的にどのような原価データを欲するかによって、その様式を研究する必要がある。たとえば、小規模工事や単一種類の工事を請負う企業では、形態別の原価データをアウトプットできればよいが、総合的に建設工事を請負う企業では、形態別の他に工種別にも原価データを把握し得るように、その様式を検討することが必要である。もちろん、帳簿システムがコンピュータ化されていれば、このような複数のデータを工事台帳から把握しなくても、他のサブ・プログラムによって、当該目的のデータを入手できることはいうまでもない。
工種別原価計算
作業機能別に把握しようとする原価計算を機能別原価計算といい、建設業では特に工種別原価計算と呼ぶ。
原価計算部門
原価計算基準は、原価部門を次のように定義している。
「原価部門とは、原価の発生を機能別、責任区分別に管理するとともに、製品原価の計算を正確にするために、原価要素を分類集計する計算組織上の区分をいう]
工場管理部門
工場の管理的機能を行う部門
工事労務費差異
工事労務費は、(賃率×作業時間)によって決定されていることが多いから、直接材料費と同様、価格面と物量面とに区別して把握、分析する。
工程別計算
部門別計算における製造部門(建設業では施工部門)のうち、作業内容を異にし、各々半製品を産出するほどの作業区分をお持つような場合、この各々の作業区分を工程という。そして、この工程別に期間の製造費用を集計して、工程ごとに完成品原価と期末仕掛品原価を計算する方法を工程別計算という。
購入時材料費処理法
材料の受払記録を省略し、材料の購入時にすべて消費されるという前提で材料費処理あるいは未成工事支出金処理してしまう方法である。この場合には、残存材料の評価が必要で、工事終了後にこの評価額が材料勘定に振り替えられる。
購入時資産処理法
材料の購入の都度、「材料の購入原価=材料主費+材料副費」の算式で決定し、材料在庫として貯蔵し、消費の際に材料費に振り替える方法である。原価計算上正式な方法であり、この場合には受払記録が必要である。
コスト・コントロール
製造原価を抑えるための生産管理、すなわち「原価管理」 という意味。
コスト・マネジメント
利益管理の一環として、企業の安定的発展に必要な原価引き下げ目標を明らかにするとともに、その実施のための計画を設定し、これが実現をはかる一切の管理活動をいう。
コストスタディ
コストの概算見積。原価調査に同じ。
コストドライバー
ABC(活動基準原価計算)は製品にかかっているコストを正確に把握するために、間接費の配賦計算をできるだけ実態に合わせて正しく行う方法である。その間接費の割り当て基準を、コスト・ドライバーという。
固定予算
次年度に予定される1つの基準操業度を想定して、1つの工事間接費を予算化するものである。したがって、現実の操業が基準操業度と遊離しても、当初の予算をもって差異分析が進められる。
個別原価計算(job order costing)
1つの生産指図書(製造活動では製造指図書)に指示した生産品数量あるいは生産サービス量を原価集計単位として、その生産活動について消費した原価を把握しようとする原価計算方法である。
個別工事原価管理目的
建設業の原価管理は、基本的に個別工事単位で実施される。なぜならば、原価の発生場所が主として工事現場であり、その現場は期間有限の移動性をもち、しかも各現場は個々の事情をもつ単品生産であるからである。建設業の工事別原価管理とは、工事別の実行予算原価を作成し、これに基づき日常的作業コントロールを実施し、事後には予算と実績との差異分析をし、これらに関する原価資料を、逐次経営管理者各層に報告し、原価能率を増進する措置を講ずる一連の過程をいう。
個別法
棚卸資産を評価する方法の一つ。 棚卸資産ごとの購入単価を用いて、そのまま商品の価値を確定とし計算する方法 。
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