僕達の世界線は永遠に変わらない [真空崩壊拡散砲]

僕達の世界線は永遠に変わらない

「匡、君を瞬間移動で敵の真正面に運ぶ。移動した瞬間に君の能力で敵を一斉消滅するんだ。良いね?」

 飛鳥井が指示を出して匡の背後に回り両手で腰を掴む。

「了解!いつでも構いませんよ」

「よし。さん…にぃ…いち…行くよ!」

「ヴン!」

 事前に作戦を立ていたわけではなく、飛鳥井が状況に合わせ瞬時に作戦を立てた作戦の指示にも慌てず、素直に従い構えるあたりに構築されつつある信頼関係を感じさせた。

「ヴン!」

 二人が瞬間移動前にとっていた姿勢のまま、バリアで足止めを食うカラス部隊先頭の正面に姿を現す!

「消えろ化け物カラス!真空崩壊拡散砲!」

 ここで匡が自身の消滅能力を使用して放つ技に初めて名を付けて叫び、後続から押し潰されている先頭の化け物カラスの頭目掛け、振りかぶった右拳をバリアごと撃ち抜く!

「ヴァヴァヴァシュン!」

 最初に拳の触れた結月の張った板状のバリアが拳を中心に消滅する!そして!

「ズッヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴヴァヴァッ!!!」

 先頭の化け物カラスから匡の消滅能力が順次後方へ伝導し、この世からあっという間に消滅して行った。

「やっぱり凄まじいな。匡の能力の威力は…」

「きょ、恐縮です」

 出現した空中の位置から落下する飛鳥井が圧巻の光景を見て呟き、匡が照れ気味に応えた。

 八神と柴門のコンビネーションによって、キガイ率いるカラス部隊を蹴散らした作戦と似たようなパターンではある。
 しかし、大勢多数の化け物カラスを葬るという結果からすれば同じようなものなのだが、明らかで決定的に異なることがある。それは柴門と匡の能力の質に違いがあるからに他ならない。
 柴門のボマー能力は自己のエネルギー的なものを変換し爆弾を作り出すという不可思議さはあるものの、物理的な存在を認め得る爆発を起こし、物理的な法則に乗っ取って敵を破壊するのだけれど、匡の消滅能力は物理法則など無視しするというか、そもそも物理法則では説明の付かない現象を起こしてしまう。
 まぁ、簡単に云ってしまえば前人未踏、破鏡不照、元気溌溂?な能力なのである。

「ヴン!」

 瞬間移動で結月とチャラの居る屋根上へ戻る二人。

「匡!あなたって凄いのね!あれだけの数のカラスを一瞬で消してしまうなんて!」

 チャラは全く興味など示さず気持ち良さそうに爆睡していたが、実は匡の能力初見の結月は興味津々で一部始終を見ており、意図的に展開された現象に驚愕し、今は匡の背中を軽く叩き笑顔で賞賛したのだった。

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