「ま、まぁ良いだろう。この辺で許しといてやるよ」
飛鳥井が余りにも真面目に謝るので、ちょっと言い過ぎた感があったのか、チャラは猫なのに気恥ずかしそうにしていた。
「許してくれるか!?そっかそっか、ありがとうチャラ♪んじゃ、残りの化け物カラスは俺達で片付けるからあとは力を温存して昼寝でもしていてくれ」
チャラの一言で元の調子を取り戻した飛鳥井が、瞬間的ではあったけれど能力を使い疲れているであろう覚醒猫を気遣った。
カラス軍幹部だったリーベが呆気なくも居なくなったとはいえ、残っている化け物カラスはまだ200羽以上もいたわけだが、飛鳥井は人間の三人でそれを片付けられる戦略と自信があったのだろう。
「…..じゃ、遠慮無くぅ、zzzzzzzz…..」
猫は本当にまさに秒で寝た。
「ハハッ、気持ち良いくらい遠慮ないねぇ…」
ある程度のリアクションは予想してたとはいえ、チャラの寝付きの早さに若干引きながら頭を掻く飛鳥井。
簡単にリーベを倒したように見えたチャラだったが、実際のところ、体力は別として精神エネルギー(MP)はスカスカのガス欠だった。
リーベ戦において技の名に「超」を付した「超爆電気」は見た目同様、相当なエネルギーを消費するらしい。
スピード能力を活かし相手の戦力を削る目的で、敢えて部隊から離れて先制攻撃を仕掛けた司令塔の作戦が失敗に終わり、ロストしたことを未だ知らない化け物カラスの群れは100mほどの距離まで近づいていた。
「結月ちゃん、板状のバリアを作ってあの群れを足止めしてくれるかい?」
結月の能力で作り出すバリアは今まで弧を描いた半球上のものしかなかったのだが、能力の性質上それくらい可能だろうと踏んでいた飛鳥井が指示を出し、結月が一瞬だけ戸惑ったものの直ぐに切り替え応える。
「了解、やってみますね。スクエアバリア!透明版!」
飛鳥井の意図する作戦の成功率を高めるために結月は機転を利かせ、化け物カラスに避けられないよう無色透明な板状のバリアを空中空間に出現させた。
「ナイス結月ちゃん♪んじゃ次は匡だ。足止めされる化け物カラスをまとめて消してもらっちうから準備して」
「あ、はい!」
結月と同じく飛鳥井の考えた作戦を呑み込んだ匡がいつでも攻撃できるよう身構える。
「ガン!ガガガガガガン!!!!」
「ギャッ!?カァッ!?」
「ドドドドドドドドドドドドド!!!」
化け物カラスの先頭集団が空中空間に現れた透明のバリアに気付かず、勢い良くぶつかり、スピードに乗った後続も止まれずに重なっていく。
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