「了解だ飛鳥井くん!このカラス達をとっとと片付けて彼女らのところに行こう!」
飛鳥井の口調と内容から敵を倒して早急に移動しなければならない状況だと理解したのか、八神が何一つ異論を唱えず攻撃に力を入れる。
元科学者で戦闘に関してはどちらかというと臆病だった八神。
しかし、今日という短いけれども濃密で異常な一日の経験を経て、成長期をとっくに過ぎた20代後半の彼もまた急激に成長し、能力だけでなく人格すら変貌を遂げつつあった。
「…マジか!?ちんたらやってる場合じゃねぇな!よっしゃこっから飛ばすぜ!まとめてぶっ飛ばしてやる!」
「ボウッ!ボウッ!ボウッ!ボウッ!」
実は一瞬だけ、「コイツらなんかほっといて直ぐに行かなくていいのか?」と言おうとした柴門だったが、口論している時間も惜しく、飛鳥井の判断を信じてやるしかないと判断した彼がいつもより多い倍以上の数の光球を自身の周囲に作り出す。
「おらっ!カラスどもこいつを喰らって地上に堕ちてしまえ!大流星群ボムッ!」
化け物カラスがウヨウヨいる上空に向けて両手を広げ、自身の周囲に作り出した50を超える光球をまさに大流星群の如く解き放った!
「ヒュヒュン!ヒュヒュヒュン!ヒュン!ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン!」
打ち上げ花火の3倍はあろうかという速さで化け物カラス目掛け、一直線に突き進んだ光球が直撃し起爆して行く!!
「ボウッ!」「ボウボウン!」「ボボウッ!」
「ギャッ!?」「カァッ!?」「ギョッ!?」
光球が直撃したカラス達のほとんどが起爆した直後に絶命し、まるで巨大にして閉じられた黒傘が雨のように落ちて行くようである。
爆発をもろに受けたカラスの中には空中で粉々になってしまう者もあり、柴門の能力が飛躍的に威力を増していることを物語っていた。
「流石は柴門くん。どんどん強くなって行くなぁ。僕も負けていられない。鉄錬金!テンフィンガーアイアンウィップ!」
屋根上で両腕を斜め下に向けた八神の10本の指の先から黒光りした鉄の鞭がスーッと出現していく。
「少々格好は悪いだろうけれど、これなら敵をまとめて粉砕できるはず」
鉄の鞭を出現させきったらしい八神の足元には、側から見れば10匹の大蛇が彼にまとわりつこうとうしているようにも見え、これで背中に蝙蝠の羽でも着けていようものなら悪魔が降臨しのかと思わせるような風貌となっていた。
「さあ、カラス達の駆逐を始めるぞ」
そう言って力を込めた10本の鞭がさも意思を持った蛇が如く、ウネウネと気持ち悪くも動き出す。
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