「へ~、それはそれは大役を授かったもんだ。しかしまさかとは思うが俺に犠牲になれとでも?」
柴門が不服そうに睨むと、苦笑した八神が返す。
「もちろん犠牲になってくれなんて酷いことは言わないよ。僕に考えがあってね…とにかく柴門君には敵を引きつけて欲しいんだ。その間に僕が鉄の錬金術で網を生成する。その網で敵を一網打尽にするから捕らえた敵をフルパワーで爆破してくれないかな?」
いまいち想像出来ていないのか、柴門が頭の上に「?」マークの浮きそうな顔している。八神は匡との連携でものの見事に上手くいった作戦を再現したいだけだったのだが…
「あれだけの数を一網打尽って、本当に可能なのか?」
「匡君との連携で千羽近い化け物カラスを消滅させて実証済みだ。まぁ百聞は一見にしかず、ぶっつけ本番になるけど僕を信用して動いて欲しい」
「せっ!?千羽!?マジかよ!?…分かった!あんたを信頼して囮役をやってやるよ!」
千羽と聞いて驚く紫門だったがある程度納得がいったようだ。
「カラス達もだいぶ近づきつつある。みんな、ぼちぼち配置に就いて備えよう!」
「おお!」「うん!」「ええ!」
三人が八神の言葉に呼応しそれぞれの配置へ移動する。
葵と美琴は3階建てのマンションの最上階の部屋へ向かい、柴門がわざと目立つように電波塔のてっぺんへ登り、八神は電波塔の後ろ側へ身を潜め錬金術で鉄の網を作り始めた。
電波塔のてっぺんで真っ直ぐ立つ柴門が、両手にボマー能力を発動させ、自身の周囲に複数の光球を出現させていく。
この時点で電波塔と敵部隊の距離はおよそ500m。
「さぁて、派手に暴れて作戦を遂行したるか!飛べ!流星ボム!」
「ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュン!」
柴門が叫び、30個ほどの光球が遠方のカラスの群れへ一直線に飛んでいく!
戦闘を繰り返したことにより熟練度が上がっているのか、カラハグに撃った時よりも光球の輝きとスピードが増していた。
「ヴォン!ヴォヴォン!ヴォン!ヴォン!」
完全に油断していた化け物カラス達にに直撃した光球が爆発を起こし、丸焦げになった者達が悲鳴を上げて落下していく。
中には光球に気付き避けたカラスがいたものの、後方の化け物カラスにほぼ漏れなく当たり撃墜していった。
光球の一つが部隊の指揮を執るキガイの射線にあったのだが、直撃まで数メートルというところで察知したキガイが叫ぶ!
「ブラックフェザーウォール!」
「ヴァウン!」
キガイと光球の間に一瞬で黒い鳥の羽で形成された黒い壁が現れ、壁に激突した光球が虚しく爆発して消えてしまった。
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