僕達の世界線は永遠に変わらない [湧き出る闘志]

僕達の世界線は永遠に変わらない

「敵軍の戦力が分散されたのはこちらにとって好都合。よって二手に分かれて各個撃破する作戦だ。八神さん達は可能な限り北に向かってくれ。戦闘をするのは出来るだけ中央のカラス王から遠ざかった場所にして欲しい。そんで北側の部隊を撃破するのに成功したら次は東へ向かい時計周りで行動するんだ」

 そこまで黙って聞いていた八神が、つい先程とは全く違い気の引き締まった顔をして訊く。もうやるしかないという気合いの表れかも。

「僕達のやるべきことは理解した。それで飛鳥井君達はどう動くんだい?」

 飛鳥井が相変わらずの淡々とした感じで答える。

「俺達はまず西の部隊を撃破する。あとは八神さん達とは逆に半時計周りに動くつもりでいる。んで全員が合流してから中央のカラス王を倒してエンディングという分けだ。さぁさぁもう時間も無い、そろそろ作戦を決行するよ。匡、結月、そこで寝てるふりしてるチャラ。俺に触れてくれ出発するぞ!」

「「はい!」」

「フゥファ~…」

 匡と結月が飛鳥井の呼びかけにすぐ応じ、チャラが気だるそうにあくびをしながらゆっくり近づく。

「ったく…まぁいいや。んじゃ、八神さん、柴門、葵さんに美琴、頑張ってくれ、幸運を祈る!」

「そっちもな!」

「ヴン!」

 飛鳥井がニカっと笑いグッドラックポーズをとり言葉をかけ、柴門が同じように返した直後に四人は瞬間移動でその場から消えた。

「八神さん、カラスどもがいた位置からするとここは北東だ。だから北はあっちってことになる。俺達も出発しようぜ」

 メンバーが集合するまでカラス軍団を見張っていて、位置をよく知る柴門が八神と葵、美琴を見て北を指差し促す。

「ありがとう柴門君!よし、僕達も行こう!」

「うん!」「はい!」

 このチームのリーダーとなった八神が三人に声をかけ、元気のある葵と美琴が応え柴門が頷き、四人は忍者のように屋根から屋根へと飛び移りながら北へと向かった。


 八神が先頭、葵、美琴と続き殿を柴門が努めしばらく進んでいると、柴門が左後方に化け物カラスの群れが飛んでいることに気付く。

「カラスどもが見えたぜ。八神さんどうする?」

 先頭の八神が進む足をピタッと止め、葵と美琴も動きを止める。

「だいぶ近づいて来ているようだね…ここは飛鳥井君の言ってた通り、中央から出来るだけ離れた場所、あっちの電波塔辺りであいつらを迎え撃とう!」

「了解!戦いたくて身体がウズウズするぜ」

 カラス王カラハグにやられて一度は瀕死になった柴門だったが落ち込んではいない。逆にその負けん気の強さから湧き出る闘志は衰え知らずだった。

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