僕達の世界線は永遠に変わらない [離脱!]

僕達の世界線は永遠に変わらない

 巨大な二つの光球が地上から上空の化け物カラスの群れへと放たれ猛スピード直進する!

「ドッ!ドッ!ヴァヴォン!ヴァヴォン!」

「ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャッ!

 化け物カラスの群れへ到達した二つの光球が大爆発を起こし、美琴がサイコキネシスで動きを止めた前衛の化け物カラス全体に大きな被害をもたらした!

 爆発の中心部に居た者の身体は粉々にになり、中心部から離れた者にも程度の差はあったが傷を負わせていく。

 そしてモクモクと爆煙が上がり化け物カラス達の視界が塞がり出す!

「よし!此処から離脱しようぜ!」

「取り敢えずあそこの家に隠れましょ!」

 美琴がそう言って北側の3軒ほど離れた家屋を指差した。

 長距離を移動するのは危険が伴うし、ロケット花火を上げた以上仲間が近くまで来ているかも知れない。美琴はそう考え、身を隠す場所の目星をつけていたのである。
 
 三人がその家屋を目指して一斉に駆け出す!

 美琴が先頭を走って葵が続き、殿を柴門が務め上空の様子を窺い呟く。

「まだ爆煙は晴れてねぇ。いけるぜ」

 確かに化け物ガラスの群れはまだ煙に巻かれた状態ではあったけれども、美琴が駆け出した瞬間にサイコキネシスの効果は弱まり始め、既に前衛で動けるようになった者が出てきてもおかしくない頃だった。

 目的の家屋を目の前にして美琴がサイコキネシスを発動する。

「ドアの鍵を開けるわよ!アンロック!」

「ガチャリ」

 能力を使用しての開錠はまだ二度目だったが、何につけてもコツを掴むのが上手い彼女は時間をかけず容易に開けてしまった。

 更にドアを能力でドアを開け家屋の中へ飛び込むようにして入る。

「ありがとう美琴~♪」

 すぐさま葵が二番手で駆け込んだ。

「よっしゃ!計画通り上手くいったな!」

 殿の柴門が入り口まであと数メートルのところで!?

「ザッ!」

「ドン!」

「おわっ!?」

 彼の正面に突然現れた硬い何かに勢い良く追突し、反動で跳ね返され尻餅をつく。

「なんだよ!?いってぇなぁ…げっ!?てめぇは!?」

 ぶつかった衝撃で鼻血の出ている柴門が痛みを堪えて正面に向けた目の先には、黄色く光る不気味な眼で睨みつけるカラス王カラハグの姿があった。

 遠目に見た時には分からなかったその身体は、化け物カラスより一回り小さかったのだが、優に2mは超えており、しなやかで鋼のような筋肉が美しくもプレッシャーを感じさせる。

「貴様らの命は我と遭遇した時点で終わっている。もう無駄に逃げるな。諦めて死を覚悟するがいい」

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