「いでで、けっ、俺のヘビーボムと互角かよ。意外に強ええじゃねぇかあのトカゲ」
爆風で庭の塀まで吹き飛ばされた柴門がサバンナモニターの強さを認めた。
実際このオオトカゲの戦闘力が相当なものであることは間違いないだろう。ともすれば化け物カラス10羽が束になってかかっても勝てないだろう。
「ヒーリングS!美琴!いい加減起きてーーっ!」
葵も爆風に巻き込まれたが無事だったようである。気絶して倒れたままだった美琴も、幸いなことに爆風の影響はさほど受けていないようだ。
「ん…わたし…」
治癒能力の効果で美琴がゆっくり目を覚ます。
「やっと目を覚ましてくれたわね」
葵が美琴の背中に手を当て身体を起こした。
「おっ!やっと目を覚ましたか!?美琴ーっ!あいつを倒すのに加勢してくれ!」
長い舌をチョロチョロと出すサバンナモニターと睨み合い対峙中の柴門が呼びかける。
美琴は頭痛がするのか、眉間に皺を寄せながらサバンナモニターの方を向く。
「ト、ト、トカゲーーーッ!?しかも飛び切りのーーーっ!!??」
これだけの声量があるのかと思わせるほど大きな声で叫ぶだけ叫び、またもや泡を吹いて葵の腕の中で戦死したかのようにぐったりする美琴。この短時間で早くも二度目の気絶である。
「マジかよっ!?葵さん!そいつはもう起こさないで良いから遠くへ二人共避難してくれ!あいつは俺一人で何とかするっ!」
心配そうな顔をして葵が言う。
「でもあいつやばくない?柴門君一人じゃ危ないよぉ」
言われた言葉にピクッとした柴門がニヤリとする。
「あんたらが此処に居たんじゃ俺が本気出せねぇんだよ。頼むから避難してくれ」
「…あっ!そっかぁ!わたし達が邪魔で好きに暴れられないってことね!。わかったわ。その代わり負けたら許さないんだからね!」
「こんなトカゲに負けねぇよ」
葵は柴門の覚悟ある意思を汲み取り、美琴の両脇に腕を入れて道路の方まで引きずって行った。
「トカゲ野郎!ファイナルラウンドだ!てめぇのでかい図体を粉々にしてやるからな!」
「シャーッ!」
サバンナモニターに熱り立って指を差しながら決めたつもりの柴門だったが、相手は表情に変化の無いギョロ目で一鳴きしただけだった。
「チッ!今一盛り上がりに欠けるやつだなっ!これで吹き飛びやがれ!ダブルヘビーボム!」
「ボウッ!ボウッ!」
柴門が一度後ろに回した両腕を素早く前に突き出し、先程と同等サイズの光球を10mほど先のサバンナモニター目掛け二つ同時に放った!
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