「ったく!こんな時に…至近距離でやば過ぎるが仕方ねぇ…ライトボムッ!」
「キィーン!ボボン!」
「ギャッ!?」
口に当てていた柴門の両手が光って爆発を起こし、堪らず悲鳴を上げたサバンナモニターが後ろに飛び退いた。
「いってーーーっ!!」
爆発を起こした側の柴門も両腕に大火傷を負い痛みで叫んでしまう。
どうやらボマー能力を至近距離で発動するのは諸刃の剣だったようだ。
「葵さん!この腕治してくれ!」
「オッケー!やっとわたしの出番ね!ヒーリングS!」
「ピカッ!」
サバンナモニターから目を離さず後退りをする柴門に葵が駆け寄り治癒を始める。
「なぁ、最後のSにはなんか意味あんの?」
「スタンダードのSよ。かっこいいでしょ♪」
葵としては試行錯誤の上で付けたネーミングなのだろう。褒めて欲しかったのか得意げにそう答えた。
「いや…普通なんだったら特にSとか付けなくて良いんじゃないか?」
「うっさいはねぇ!ほら、腕は治ったわ!行ってらしゃい!」
「おっ!仕事が早いねぇ」
葵自身は気付いていなかったが、覚醒した能力は使えば使うほど熟練され、日に日に能力の性能は上がっていくのである。それは柴門とて同じであった。
「っしゃーーっ!トカゲ野郎!第2ラウンド開始だ!」
柴門の身を削った攻撃により口に傷を負ったサバンナモニターは、爆発を警戒して動かない。
「はっ!どうしたさっきの勢いは!?かかって来いよ!」
「シャーーーッ!」
サバンナモニターが煽る柴門に対して威嚇する。
「てめえ、さっきから何も喋らねーな。覚醒すれば人間の言葉を必ず話せるようになるってわけでも無さそうだ」
柴門の割にはなかなか冷静な分析だった。
そう、動物が覚醒を果たしたからと言って、全ての種の動物が能力人間の言葉を話せるようになる訳ではない。
カラスや猫が話せるようになった要因としては、動物の中でも元々の高い知能が影響しているのかも知れなかった。
「んじゃ行くぜ!さっきよりいてーから覚悟しろや!ヘビーボムッ!!」
柴門が野球のボールを投げるようなフォームで右手から大きな金色の光球を放った瞬間!
「ガァーーーッ!」
「ボウッ!」
サバンナモニターの開いた口から赤い光球が飛び出した!
「カッ!」
「ヴァッヴォン!!!」
「なっ!?」
「キャーッ!」
柴門とサバンナモニターのあいだで光球がぶつかり合い爆発を起こし、爆風で柴門と葵が数メール吹き飛ばされる!
爆風は玄関のドアや庭の壁が壊れるほどの威力であった。
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