カラスの群れが懲りずにバリアの破壊を試みているが、バリアには1ミリのヒビすら入らない。
しかし、元々薄い緑色で透明なだったバリアが更に薄くなっていくのが把握できた。
僕は緊張感がピークに達して「ゴクリ」と息を呑む。
「いよいよですね八神さん」
「そうだね…来るっ!?」
八神さんがそう言った瞬間!
カラスの群れが立っていたバリアが完全に消え、万有引力の法則によりバラバラと落ちて来た!
「展開しろ!アイロンネット!」
「ビキィヴィキキィィィ!」
まるで戦場にいる兵士を指揮するかの如く八神さんが叫ぶと、黒い鉄塊と化していた鉄の網が凄まじい音を立て、小さな円が一気に広がり何倍もの円を形成した!
その広さは1,000羽近いカラスの大群を全て捕らえられるほどかも知れない!?
「ここから一網打尽だっ!!!」
「ビッキィヴィキッキィィィ!」
斜め45度くらいだった網の側面が、更に角度を上げ円の中心へ集まるように動き!
「ヴァクン!」
それは大海原を泳ぐ巨大なクジラが大きな口を開け、一口で大量のオキアミを食べるかのような姿に見えた!
「カァー!ギャー!カァーギャー!]
宇宙一でかい鉄の網に捕らえられた化け物カラスの大群が網を破ろうともがいている。
「匡君!出番だ!」
「了解っ!」
「ダンッ!」
八神さんの合図でとっくにスタンバっていた僕が即座に地面を蹴り上げ、真上10mほど上空にある網の中心目掛けジャンプした!
飛躍的に向上した身体を使っての本気のジャンプはジェットコースター並みの体感速度!
あとは網の中のあいつらを全部纏めてぶっ飛ばすイメージだっ!
「お前ら全部消えちまえーーーーーーーーっ!!!」
「ヴォン!」
右拳による渾身の一撃を直近の化け物カラスにぶつけ、一瞬で身体のほとんどを消滅させた!
そして…
「ヴォン!ヴォヴォン!ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォ!……..,」
一撃を当てたカラスのいた場所を拠点に消滅能力が下から上へ猛スピードで連鎖して行く!
「おっっしゃーーーーーーーっ!」
僕は作戦が成功したことを喜び、柄にもなく勝利の雄叫びを上げた!
上空にいた化け物カラスの大群が鉄の網ごと消え去ったのを見届け、僕はそのまま地面に向けて頭から落下する。
だが大丈夫!
着地のイメージもバッチだ!
と思ったその時!
「ズムッ!」
「なっ!?」
僕は地面に到達する前に、背中に強い衝撃を受け身体全体に激痛が走り、自分の腹部を貫通した黒いクチバシを目にしたのだった。
くそっ!?網に掛からなかったカラスか…
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