いや待て!?狙われているのは僕だけじゃない!?
カラスの大群が数にものを言わせて僕達全員を目掛け一斉に襲いかかって来る!その数はもう把握することが不可能!?
「ビッグバリアッ!」
「ヴァン!ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァンアヴァヴァン!!!」
結月が機転を利かせ、僕達全員を包む、否、公園全体を覆うほどの巨大なバリアを張り巡らし、先程と同じようにカラス達が潰れ砕けていく!
「結月グッジョブ!」
「任せてよ!」
僕が右手を突き出し親呼びを立てて合図すると結月がそれに応える。
一時のあいだにバリアの外側はカラス達の死骸で埋め尽くされ、上空が全く見えなくなってしまった。
「お前ら見た目と違ってやるじゃないか…不本意だが助かったぜ」
巨大な猫が仏頂面で照れるようにして礼を言った。
デカくて迫力ありすぎなんですけど…
四つ足を地面につけた状態で目線が僕よりやや低めだが、近くで眺めるとモフモフな毛並みも相まって、その体格は平均的なライオンや虎の1.5倍はあるように見える。
そんな迫力のある猫に結月が気さくに声をかける。
「可愛いなぁ♪猫ちゃんのお名前は?」
結月が猫好きなのは知っていたが、こんな巨大猫も可愛いと思えるとは…
「チャラだ。因みにオス。今は亡き飼い主から付けられた大切な名だ。間違っても馬鹿にするなよ」
「やだな~、馬鹿にするわけないじゃない。わたしは結月。こっちが匡で、こっちが八神さん。よろしくね~チャラ♪」
適当な紹介をしながらチャラの喉元に掌を当てて撫でる結月。
「ゴロゴロゴロゴロニャ~♪」
チャラが満更でも無さそうな顔をして普通の猫のような鳴き声を出した。
うっ、結構可愛いいじゃないか…
黙って様子を見ていた八神さんが口を開く。
「コホン。チャラとのコミュニケーションが取れたの良いとして、結月ちゃん、このバリアはどれくらい保つのかな?あと30分とか?」
チャラを撫でる手を休めずににこやかに笑い結月が答える。
「やだな~そんなに保つわけ無いじゃないですか。保ってあと5分ほどです。ついでに言っちゃうとさっきのでMP的なやつを使い果たしちゃいました~♪」
「なにーーーーーーっ!?」
僕と八神さんは綺麗にハモって目が飛び出るほど驚いた。
なぜそんな大事なことを猫とじゃれあいながらさも楽しそうに話したのだ結月ーー!
「そういうことだからあとは任せたわよお二人さん♪」
そう言ってウインクした結月はチャラと戯れていた。
「匡君!緊急作戦会議だ!」
「はい!八神さん!」
僕と八神さんは急遽向かい合って地面に座り込み、バリアが消えたあとの作戦を話し合ったのだった。
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