カラスの先頭と猫がぶつかる直前!
「スタンダードバリアッ!」
後ろから結月の叫び声が聞こえ、猫の周りに透明感のある薄い緑色をした半球のバリアが張られた!
「ズガン!ズガン!ズガン!」
全体重をかけ急降下したカラス達が硬いバリアに次々に直撃し、クチバシから身体まで潰れて砕け肉片が飛び散る。
十数羽がこれにより即死したが、後続は先に潰れたカラスの死骸がクッションとなり即死を免れ、その更に後続は急降下を止め上空に待機状態となった。
「鉄錬金!ブラックランス!」
八神さんがそう叫ぶと、本人の真上の何も無かった空間に2mほどの鉄の槍が10本ほど現れ、上空に待機しているカラスの群れを目掛けて飛んで行く。
「グァアーッ!」
「ゲェアーッ!」
鉄の槍が一気に加速してカラス達の身体を貫き、絶叫を上げ飛行を維持出来ずに地上へ堕ち地面に叩きつけられた!
「マジか…」
あっという間の壮絶な出来事に声が漏れる。
二人が咄嗟に動いて猫を守り、30羽くらいのカラスを倒しているというのに、僕はただ観ているだけでまだ1羽も倒しいていない。
何故なら僕の能力は至近距離でしか使用できないから…ん!?待てよ。そう思い込んでるだけで遠距離も気合いで何とかなるんじゃないか!?
試してみる価値はあるだろ!
「消えろーーーっ!!!」
上空のカラスの群れに向け拳を突き上げた!
のだが、1羽のカラスにすら変化は起きず、叫び声を上げた僕を格好の獲物と見たカラス達が上空から突進して来る!?
結月と八神さんは猫の近くに行き、僕の状況には気付いていない…ってか、ここで助けなんか求めたら格好悪すぎだろ!
正確な数は把握出来ないが、こっちに向かっているカラスはざっと10羽以上。
ギリギリまで引きつけよう…
真上から急降下する先頭のカラスのクチバシを狙い真っ直ぐ撃ち抜く!
「まとめて消えちまえーーーっ!!」
「ヴォヴォン!」
僕が拳を突き出した先に円形の曇り空が見え、その円の周りにはカラスの寸断された肉片が浮いている!
つまり10羽以上のカラスを纏めて倒すことに成功した訳だ。
さっきの遠距離攻撃が失敗し、今度の攻撃は後方10m以上離れたカラスに届いたのなぜなんだ!?
「匡後ろ!」
結月の声で後ろを咄嗟に振り向くと、上空の斜45度あたりからカラスの群れが寸前まで突っ込んで来ている!
「っしゃあーーーっ!!」
「ヴォヴォヴォヴォン!」
今度も真っ直ぐ拳を放ち20羽ほど纏めて倒したが、カラスの数は先程よりずっと多く、広範囲に渡って波状攻撃を仕掛けて来た!
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