これで僕以外の全員が寝てしまったことになる。
さて、どうしたものかな…
とりあえず、椅子に掛かっている誰の物か分からない黒のウィンドブレーカーを手に取り、小さなイビキを掻き出した八神さんの背中に被せてあげた。
その直ぐあと、急激に身体が重くなるのを感じて睡魔が襲ってくる。
「そりゃそうだよなぁ…」
一ヶ月の眠りから覚めたばかりでこれだけ身体を動かし、急激に変わってしまった世界を知り精神的にも参っている筈だ。
こんなに遅くまで起きて立っているのが不思議なくらいだろう…
僕は空いている二段ベッドの下段に靴を脱いで飛び込み毛布にくるまった。
「誰のベッドか知らないけど今夜は拝借させてもらいま…ふぁ~…僕は明日からどんな生活を送るんだろうな…zzz」
一人でぶつぶつ言っている間に、僕は深い眠りへと落ちていった…
「なっ!?なんじゃこりゃーーーーーーーーーーーーーっ!!!?」
シェルターの部屋の中に葵さんの絶叫?が響き渡る。
僕は叫び声に反応してガバッと毛布を跳ね除け、上半身を起こし葵さんの方へ目を向けた。
葵さんが毛布を羽織って足元を凝視している。
そこには寝る直前まで服を着ていたはずの柴門さんが素っ裸になってまだ寝ていた。
二段ベッドの上段で寝ていた飛鳥井さんが目覚め、眠そうにして声をかける。
「どうしたのぉ?葵さ~ん。急に叫び声なんかあげちゃってぇ」
「ど、どうもこうもないわよーっ!目を覚ましたら裸の柴門君が隣で寝てたのよーっ!」
そう言う葵さんの羽織った毛布からは、太ももの付け根近くから足首まで綺麗な白い生足が見えている。
起きたばかりでまだ眠かったが、思春期の僕にはパンチの効いた目覚ましとなった。
「ま、まさか、葵さんも素っ裸なんですか!?」
やばっ!?質問したあとで口にしてはならない言葉を発ったことを後悔する。
恥ずかしさと怒りからなのだろう、葵さんの顔がみるみるうちに赤くなっていった。
「わたしはちゃんと着てるわよ!上だけは…下も下着だけは着けてるんだからね!」
ぐっ…男のさがなのかつい想像してしまい、それを振り払おうと頭を横にブルブル振った。
「なんだなんだぁ。うっせぇなぁ…げっ!?何で俺は素っ裸なんだ!?」
「君はまだ寝てろーーーっ!!」
「げふっ!?」
柴門さんがムクっと起き上がり自身が素っ裸なのに気付いた瞬間、鬼の形相をした葵さんの容赦無い蹴りが顔面に直撃した。
そのまま気絶してしまう哀れな柴門さん…柴門さんが裸なのって、思い出してみればボマーの能力で自爆した所為なんだよな…
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