僕達の世界線は変わらない [不機嫌になるボマー]

僕達の世界線は永遠に変わらない

三人で呑み始めたものの、酔った二人のテンションが高すぎてなかなかついていけない。

 ビールをちびちびと口の中に入れ、暫く黙って二人の会話を聞いていると柴門さんが不意に僕の背中を叩く。

「バンッ!」

「げふっぅーーっ!?」

 驚いた勢いで含んでいたビールが口から噴き出した。

「なっ、なにを!?」

「お前がしけた顔で呑んでるからだよ~♪」

 柴門さんがめちゃくちゃ陽気でめちゃくちゃ悪魔的な顔でそう言う。
 やばい、人生初の呑み会だというのに、今夜で呑み会がトラウマになってしまいそうだ…

「さっきコイツから聞いたんだが♪お前のナインスセンスはチート級なんだってぇ?俺の[ボマー]とどっちが強えか勝負しようぜぇ♪」

 ボマー?名前からして爆発を起こせるとかそういった類の能力なのか?

「やめとけ~柴門♪匡とやり合えば洒落にならーんことになるぞ~♪負けるだけなら良いけど運が悪けりゃ死んじゃうぞ~♪」

 酔っ払いの飛鳥井さんは止めているつもりだろうけど、これだと煽っているとしか…

「ほ~、俺がこの少年に負けるって言うのかお前は」

 ほら言わんこっちゃない!柴門さんの言葉尻から「♪」が消えちゃったじゃないかぁ!目も座ってるっすよぉ…

「ああ♪負けるね♪お前は負け負けだぁ~♪」

 飛鳥井さんのバカ~!終わったかも!?

「飛鳥井てめーーーっ!」

 鬼のような顔になった柴門さんがガタッと椅子を後ろに蹴って立ち上がった瞬間!?
 座っていたはずの飛鳥井さんがいつの間にか柴門さんの背後に立ち、サバイバルナイフを柴門さんの喉元にペタペタと弾ませ遊んでいた。

「ほ~ら負けた♪俺に勝てないようじゃ匡にはもっと勝てないよ~ん♪」

 恐らく瞬間移動を使ったのだろう…

 飛鳥井さんは僕の方が強い的なことを言ってくれたが、こんな瞬殺確定!な場面を見せられたら全く勝てる気がしない。
 
 そんなことより柴門さんがやばいことになっていじゃないかっ!?
 
 鬼のような顔が小刻みにプルプルと震え、身体の中からポンポンという感じで赤く光る球体が数発飛び出した!?

「俺を怒らせた罰だ。少し痛い目に遭わせてやるぜぇ!」

「バカかぁ♪お前はぁ♪」

「ヴン!」

「ヴン!」

 消えた飛鳥井さんが直ぐに僕の腰を掴んだ!?

「匡~♪避難するよ~♪」

「ヴン!」

 僕と飛鳥井さんは離れて座っていた葵さんと美琴さんの間に瞬間移動した。

 美琴さんが上機嫌で文句を放つ。

「ちょっと~何やってんのよ~♪邪魔よ貴方達~♪」

「美琴~♪あれ爆発しそうなんだけどどうにかなるかなぁ?♪」

 飛鳥井さんはそう言って柴門さんを指差した。

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