僕達の世界線は永遠に変わらない [酒に酔う]

僕達の世界線は永遠に変わらない

 そこから各自が思い思いのチーム名を考え口に出して行き僕で最後となった。

 飛鳥井さんが陽気な感じで僕を促す。

「匡、新入りだからって遠慮せずに言ってみろよぉ~♪」

 僕は少し恥ずかしかったのだが、周りがビールを呑みほろ酔い状態だったので思い切って言ってみることにした。

「うろ覚えなんですけど…確か英語でフォーティテュードという言葉があって、日本語に訳すと『不屈の精神』って意味もあったような気がするんですよね。で、それをもじって『フォティテューズ』ってどうかなぁなんて…」

 言い終えると、みんなが僕に注目して固まっている。

「『不屈の精神』ね…それ、良いんじゃねぇか?」

 おお!?酔っているとはいえ柴門さんが肯定してくれた。

「僕には似合わないかも知れないが、良いんじゃないかな」

「わたしもそれで良いと思うわ」

「あっ!わたしも~!」

「おっと~わたしもわたしも~!」

 八神さん、美琴さん、結月、葵さんが立て続けに賛同してくれてしまった。
 おいおい、本当にそんなんで良いのか?

 ニンマリと笑った飛鳥井さんが右手に缶ビールを持って掲げる。

「全員一致だな!今日から俺達のチーム名はフォティテューズだ~っ!」

 みんな揃って缶ビールを手に持ち二度目の乾杯をしてまた呑み始めた。
 うわぁ~、簡単にチーム名が決まっちゃったよ…

 暫く経つと、ほろ酔いだった人達が泥酔と言える状態に移行して行く。

 飛鳥井さんと柴門さんは二人とも眠そうな顔をしているけど、大学時代の話で盛り上がっているようだ。

 テーブルを挟んだ反対側では、楽しそうな顔をしているのに訳の分からない愚痴を溢している葵さん。その隣りに座り、黙って愚痴を聞いていた美琴さんが葵さんの頭を撫でて慰めている。
 どちらが歳上なのやら…

 八神さんは久々に呑んだ酒が効いたのか、一人テーブルに突っ伏していびきをかきながら寝ている。

 僕の隣に居る結月はというと…慣れない缶ビールを呑み続け、既に5本呑み干し、6本目に突入しようとしていた。

「おいおい、流石に止めといた方が良いんじゃないか?」

 結月と僕はこれが初めて呑む酒だ。
 調子に乗って呑めばとんでもないことになると思い止めたのだが…

「い、いいのいいの~♪今夜だけは大目にみなさいよぉ、幼馴染み~♪」

 全く呑むのを止めそうに無い…

 長い付き合いだけれどこんな結月は初めてだった。
 しかし、僕も酒に酔ってしまっているのか、頬をピンク色に染め、缶ビールを呑む結月の姿を見て可愛らしさを感じてしまう…

 そうだな。今日くらいは大目にみてやるか。
 僕は、結月が酔い潰れるまで見守ってやることにした…

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