全員が席から立ち、男性陣は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、女性陣は棚からパッケージに入ったツマミになりそうなものを物色してテーブルへ運ぶ。
準備が整い全員が席に着いて缶ビールのタブを開ける。
「では改めて、新メンバーの匡の加入と、もっと大きい組織に出来ること願って。かんぱーい!」
「「「「「「乾杯!」」」」」」
全員同時に缶ビールを掲げビールを口にする。
「ぷは~。うめ~」
「久々に呑んだがやはり美味い」
「美味しいぃ」
「苦っ」
周りは美味しいと思いながら呑んでいるようだけど、僕にとっては苦くて変な味のする炭酸水に感じた。
「なあ結月、これって美味しいかな?」
「ん、美味しくは、ないかなぁ…でも気分的に呑んでみたかったのよね。ほら、アルコールって人を陽気させる効果もあるって云うじゃない」
結月も葵さんと同じで精神的ストレスが強いのだろうか…
確かに僕も両親や喬助のことが気に掛かっているし…
「…ちょっと訊いても良いかな?」
「なに?改まって匡らしくないわね。遠慮なく何でも訊いてよ」
「そうだな。僕らしくないか…あのさ、結月なら喬助や僕の両親について何か知らないかなと思って…」
「…ごめんなさい。匡のご両親のことは全然わからないわ。貴方の状況を知りたくて神の戒告後に一度だけ家まで会いに行ったのだけれど、その時は留守にしていたらしくて結局会えなかったの。喬助君とは電話が繋がらなくなるまでは連絡を取り合っていたわ。最後はご両親の実家に引っ越すようなことを言ってた」
「そっか…わかった。ありがとう」
僕は一言お礼を言って、美味しいと思っていないビールを一口呑む。
両親の手掛かりになるようなことは訊けなかったが、喬助が生きている可能性が高いことを知って少しだけ安心した。
結月の両親の件も尋ねたかったけど今はやめておこう…
苦いビールをやっと一本呑み終わる頃には、みんな2,3本は既に空けていた。
「はい、みんな注目~!酔ってしまう前にチーム名を決めちゃおう!挙手無しで構わないからバンバンアイディアを出してくれたまえ~」
赤い顔で気分良さげな飛鳥井さんが全員対して呼びかけ求める。
すると、素でも十分色気のある美琴さんが、ほろ酔いで色気増し増しになった状態で言う。
「もろに正義感丸出しって感じだけど、ジャスティスなんてどうかしらぁ?」
艶やか声もまた色っぽいなぁ…
しかし「ジャスティス」とは…悪くは無いけど普通過ぎないだろうか?
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