「俺たちが結月ちゃんの横に車を止めて話を訊くと、住宅街で三日ほどご両親を探し回っているという事だった」
僕が結月に目を向けると「そうよ」という意味を込めた頷きをして飛鳥井さんに話しかける。
「両親の件については後でわたしから個人的に話します。それよりチームの話を進めてください」
「了解…そいういう訳だ匡。結月ちゃんも参加して現在6人。こんなメンバーのチームでもちろんルールもある。加入する意思はあるかい?」
メンバーはそれぞれ個性的で癖のありそうな人ばかりだが、ここまでの話を聞いた限りで悪い人達では無さそうだ。
それに僕は結月の近くにいて彼女を守らなければならない…と言うか守りたい!
「もちろん加入させてもらいますよ。僕も皆さんの力になれるように頑張ります!」
飛鳥井さんがニヤッとして言う。
「いい返事だ。よし、今日から君はうちのチームの正式な一員だ。みんなも意義は無いな?」
「「「「「異議なし!」」」」」
他の5人が同時に承認してくれた。
「チームのルール何だが今のところは三つだけだ。一つ。獲得した物資は均等に分割又は全員で共有すること。二つ。重要な案件は多数決で決めること。三つ。仲間内で紛争を絶対起こさないこと。以上だ。分かったかな?」
「理解したし覚えました!大丈夫です!」
柴門さんが頃合いを見ていたのか、ここで飛鳥井さんに打診する。
「途中しんみりしちまったから呑まねえか?このあいだ拾ってきた缶ビールが冷蔵庫でキンキンに冷えてるだろ」
「それ賛成~!みんなで楽しく呑もうよ!んで、折角だからチーム名も決めちゃおう!」
飛鳥井が返事をする前に、無理やりかも知れないが急に元気な顔で葵さんが肯定と新たな提案をした。
柴門さんとのやりとりがあってから、ずっと難しい顔をしていた八神さんが乗り気な感じで賛同する。
「それは良い考えだねぇ。今日は呑みたい気分だ。酒を呑むのは一年ぶりくらいだな」
「5人は良いとして匡君と結月ちゃんはどうする?」
僕と結月がまだ未成年ということで美琴さんは訊いてくれたのだろう。
もう日本は崩壊して憲法や法令なども意味を成さない訳だし…
「お酒は呑んだことないけど呑んじゃいま~す!匡ももちろん呑むわよねぇ?」
考えているあいだに結月は答えを出してしまっていた。
「あ、ああ。もちろん呑むよ」
僕も酒は呑んだ経験が無かったので味がどんなものか想像出来なかったが、この場面で「遠慮する」などとはとても言えない。
「そっかそっか。みんなそんなに呑みたかったんだな!よし!今夜は宴会だ~!」
結局、最後に賛同した飛鳥井さんが一番嬉しそうな顔をしていた。
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