一通りの説明を終え、葵さんが運んででくれた二本目のペットボトルに口をつける。
「匡は海外へは行かずにずっと自宅の地下で治療をしてたって訳ね」
少し怒り気味に結月がそう言った。
「嘘をついしまった事は謝るよ。本当にごめん…でも両親と話し合った結果、それがベストだと判断したんだ」
「べ、別に責めてなんかいないわよ。ただちょっとだけ残念だったかなぁ…でも匡が無事ならそれだけで十分嬉しい!」
ストレートに気持ちをぶつけてくる結月の言葉が嬉しい反面、何だかこそばゆく気恥ずかしかった。
「今度は匡に俺達の自己紹介をしようか。そうだな、じゃあ柴門から行ってみよう!」
飛鳥井から指名を受け、金髪で気の強そうな顔付きをした男性が料理を食べる手を止めて自己紹介を始める。
「俺は柴門翔悟(さいもんしょうご)。そこの飛鳥井と同じ大学の同級生だ。お前、まだチームへの加入を決めかねているようだが、神の戒告で変わったこの世界のことを舐めてんじゃねぇか?」
「い、いえそんなつもりは全然…」
僕はそれほど気が弱い方では無いのだが、柴門さんのギラっとした強烈な目力で睨まれ萎縮してしまった。
「柴門、高校生をそんな目で脅すもんじゃないよ。チームの加入についてはみんなの紹介が終わってから話し合う。よし、次からは余計な事は言わないように!では、八神さんどうぞ~」
柴門さんに一言釘を刺し、飛鳥井さんが次に指名したのは白衣を着たボサボサ頭の男性。
黒縁メガネの位置を直して無表情のまま話し出す。
「こういうのって苦手だなぁ。コホン…僕は八神鉄人(やがみてつひと)、某有名大学に科学者として勤務していた。年齢はちょうど30歳。まぁ、人付き合いも苦手だけどよろしく頼むよ」
「こちらこそよろしくお願いします!八神さん」
さっきの伝声管の話で鉄を錬金して作った人はこの人で間違いないな…
「次はわたしねぇ。獅子堂美琴(ししどうみこと)、20歳。一応女子大生やってたけど、会社を設立して社長になってからは仕事人間だったわ。今はこんな様だけどね。よろしく、匡君」
「獅子堂さんですね。よろしくお願いします」
飛鳥井さんや柴門さんより歳下なのに、獅子堂さんは凄く大人で色っぽく見えた。
きっと早くに社長になり社会で磨かれた洗練さが滲み出ているのだろう。
ここで葵さんが手を挙げて話し出す。
「はーい!もうわたしの自己紹介は不要かもだけど、新田葵25歳、元看護師で~す!少しは医療の心得があるから体調が悪くなったらいつでも言ってね♪」
葵さんは歳上だけど可愛らしくて、元気印のムードメーカーって感じの女性だ。
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