結月との再会の余韻に浸ることはなく、僕も手伝い四人で夕食の準備に取り掛かった。
葵さんによる指示の元、食器棚から皿やフォークにスプーンなどを七人分取り出し、茶色の木製長テーブルに並べて行く。
シェルター内って食器がこんなにあるもんだな…
などと始めに気になることが浮かび上がると、次々に驚かされることとなる。
まずは料理にも使用している水なのだが、訊いてみるとこのシェルターの下には更に地下があり、そこに一年分くらいの水が蓄えられているらしかった。
ただし、4人が3年で消費した場合の話だそうだが…僕の家の地下室にももしかしたら貯水タンクのようなものがあるかも知れないな…
次に、いま作っている最中のシチューの調味料などに関してだけど、「料理のさしすせそ」である砂糖、塩、酢、醤油、味噌は勿論、カレーや鍋の元各種の調味料も3年分あるのだそうだ。
当然、調味料だけでなく食材にししても、室温の低い貯蔵庫に3年分あるらしい。
他にも疑問に想って質問し、説明を受けた事が何点かあったけれど今回は此処らで割愛しておく。
夕食の準備がほぼほぼ整ったところでシェルター入り口のドアが開く。
「柴門、八神、獅子堂、只今戻りました~」
そう言って若い男性二人と、女性一人が部屋の中へ入って来た。
「おっ、お帰り~。三人ともお疲れさん!今日は収穫あったかい?」
飛鳥井さんの質問に、最初に言葉を発した男性が答える。
「動物のキメラ的な奴らとしか遭遇しなかったな。残念な話だが人間は一人も見当たらなかった。その代わりと言っちゃ何だが、ミネラルウォーターをバックパックいっぱいに詰めて来たぜ」
三人が背負っていたバックパックを床に下ろし、次々とペットボトルのミネラルウォーターを出して行った。
その様子を見ていた僕が口を開く。
「うわぁ!凄い数ですね。これってどこで調達したんですか?」
質問の声を聞いた三人がほぼ同時に顔を上げ、僕の顔を見るなり三者三様のリアクションをする。
「だっ!?誰だお前?」
「おわっ!?」
「キャーッ!新人君?かっわいい~!」
僕はそのリアクションを見て何だか恥ずかしくなったが取り敢えず自己紹介をする。
「ここに居る結月の幼馴染みで同級生の阿笠匡って云います!これからお世話になるかも知れませんのでよろしくお願いします!」
「……あのな…」
「はい!そこまで~!続きは料理を食べながらしよっか!」
驚いた表情のまま一人の男性が何かを言おうとするところへ、割り込んだ飛鳥井さんがストップをかけたのだった。
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