ブツブツ独り言のように呟く僕を見て飛鳥井さんが続ける。
「簡単に言っちゃうとだね。現状は地球上の全生命体に依る生き残りをかけたバトルロワイヤルが始まっているんだよ。誰かが始めようとルールを決めて画策したわけではなく、ごく自然な成り行きでそうなってしまったんだけね…」
バトルロワイヤル…ゲームなんかの設定でよく見かけたあれか?最後の一人まで殺し合うというのが全世界の現状!?
「それってもう取り返しがつかない段階にあるんですか?」
飛鳥井さんがため息を一つついて質問に答える。
「君がいま心配しているのはたぶん全生命体の滅亡だろ。このままバトルロワイヤルが本格的に続いて行けば、自ずと結果は望まなくてもそうなってしまうだろうね」
この人は簡単にサラッと恐ろしい事を言っているが、感覚が麻痺してしまっているのだろうか…豹変してしまった世界に出て来てたった一日の僕とは年齢や性格的な違いもあるけれど、やはり、一ヶ月近くものあいだ急速に変遷する世界を経験して来た飛鳥井さんとでは、考え方が違うのは当たり前なのかも知れないけれど…
「飛鳥井さんのことを疑っている訳じゃ無いんですが…話をそのまま鵜呑みにして信じたくないし信じられない。やっぱり自分の目でしっかり確かめないと、余りにも非現実的過ぎて頭と心が受け入れないんです…」
「だよねぇ。気持ちは何となく分かるから焦らなくて良いよ。ただ、俺がここまで話した内容に嘘偽りは全くないんだ。それを確認する意味でもうちのチームに加入し、共に協力し合い生きて行くというのはどうだろうか?」
あっ!話が最初に戻った!?
飛鳥井さんが僕と出会ってから直ぐ、何らかのチームにスカウトしようとしていたのを想い出す。
「そのチームがどんな感じの集団なのか教えて欲しいんですけど」
「どんな感じかって言われると…そうだなぁ。まだ名もなきチームのメンバーは今のところ俺を含めてたった6人。4人が20代、後の二人は君と同じ10代だ。立ち上げたばかりで人数が少ないからチームという言葉を使ってるんだが、そのうち人数が増えて来たら呼び方も変えていくつもりだよ。えっと、因みにリーダーは俺ね」
右手の親指を立てニカッと笑い決めポーズを見せる飛鳥井さんだった。
そっか、立ち上げたばかりで名前すら無いチームなのか…あとは目的を知りたいな…
「あの、具体的に何をするためのチーム何ですか?」
「おっ!良い質問だねぇ。じゃあ、チームの目的について説明させてもらうとしますか。随分と遠回りになってしまったけどね。ハハハ」
コメント