木を破壊するイメージか…
カラスの頭を消し飛ばしたあの場面。
とにかくカラスを引き離そうと無我夢中でパンチを放った。
あの感じかな…
先ほどと同じく拳を握って振りかぶる。
「砕けろーーーっ!」
「ヴォン!」
二度目のパンチには木を殴ったインパクトは拳に伝わらず、パンチの打点を中心に直径1mくらいの木が部分的に消滅?し、木の上と下に分断されるような形となった…って!?
やばいっ!分断された木の上部分がこっちに落ちてくる!
咄嗟に後方へジャンプして避けたが、このままだと飛鳥井さんにヒップドロップが当たってしまう!と思った瞬間!
「ヴン!」
音がして飛鳥井さんがその場から一瞬で消えた!?
僕は誰も居なくなった空間を通り抜け、後ろの木に勢いよく背中をぶつけてしまう。
「ドッ!」
「げふっ!?」
痛みで背中を押さえながら前方を見ると、飛鳥井さんが分断された木に近づき何かを確かめていた。
背中の痛みを堪えながらそこへ歩いて近づく。
「ちょっとこれを見てくれるかい。こんな綺麗すぎる切り口は普通あり得ないだろ?」
指差された部分をよく見れば、確かに歪曲で卑猥なおかしい切り口だった。
例え電気カッターを使ってやろう思っても、こんな形で綺麗に木を切ることは不可能だろう…
「これって、いったい?…」
「ん~、原子レベルで物体を消滅させているような気もするし…詳しいことはちゃんと調べてみないと何とも…とにかくこの現象はかなりやばいんだ」
言われてみると何となくやばそうな気もするけど…
「この力…つまり君のナインスセンスは恐らく物体を分解、もしくは消滅させることが可能!ということだ!」
飛鳥井さんが鼻息も荒く興奮気味にそう言った。
「あの、教えてもらうのは良いんですけど、何がそんなにやばいのかもうちょっと詳しく訊きたいです」
「うん、そうだよね。え~っと、簡単に言っちゃうとその力を極めれば、この地球上に在る全ての物体を消滅させることができるかも知れない!という訳さ」
えっ!?…余りにも現実離れした話で流石に言葉が出てこない…
「驚くのも無理はないだろう。俺も君がカラスの頭を消した時は正直なところ恐怖を感じたよ。その力は他のナインスセンスと比較しても抜群に神がかっているからねぇ」
飛鳥井さんは神がかっていると言ってくれたが、僕は悪魔のような力だなと想っていた。
「やばくて危険なのは理解してもらえたかな?」
「あ、はい。充分過ぎるくらい理解できました」
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