ねこのねがい(ショートショート)

ショートショート

 日本のあるところに、年末になるとどうぶつたちのあつまる山がありました。


 その山には今年もどうぶつたちがあつまっています。


 山にあつまったのは十二支の、


 ねずみ、

 うし、

 とら、

 うさぎ、

 へび、

 うま、

 ひつじ、

 さる、

 にわとり、

 いぬ、

 いのししでした。


 どうぶつたちが大きな円をつくってまっていると、そらからかみさまがおりてきていいます。


「みんな今年一年ごくろうだったな。とくにねずみよ、今年はたいへんな年になってしまったのう」


 ねずみはもうしわけなさそうにいいました。


「すみません。がんばったのですが、いろいろなことがありすぎました」

 
「うむ、そうだな。ねずみはよくがんばった」


 かみさまはねずみのあたまをなでてあげます。


「うしよ、来年はよい年になるようがんばるのだぞ」


「はいかみさま!このうしにまかせてください!」


 うしはげんきにへんじをしたのでした。


 しばらくのあいだ、かみさまとどうぶつたちが今年のはなしをしていると。


 とつぜん林の中からねこがとびだして来ていいます。

「かみさま!かみさま!わたしの話しをきいてください!」


「どうしたねこよ。いいたいことがあるならいってみろ」


「十二支なのにたつがいませんよね。そこで、わたしを十二支に入れてほしいのです」

  ねこはむかし、十二支のどうぶつをきめるときに、ねずみにうそをつかれて入れなかったのでした。


 かみさまがこまったかおをしていいます。


「ねこよ、たつはここにおるのだよ。じつはわしがたつなのだ」


 そういうとかみさまは、またたくまにたつのすがたにかわったのでした。


 びっくりしたねこがいいます。

「じゃ、じゃあ、たつはいなかったわけではないのですね」


「そういうことだ。だから十二支に入ることはできないのだよ」


 ねこはおちこんでなきそうになりました。


 そんなねこをみてかみさまがいいます。


「ねこよ、十二支に入れなくてもおちこむことはないぞ」

「なぜですか?わたしにはわかりません。かみさまおしえてください」


 かみさまはとてもやさしいかおをしていいました。

「おまえはせかいで一ばん、おおくの人をしあわせにできるどうぶつなのだよ」


「ほんとうですか!ありがとうございます!」


 かみさまのことばをきいたねこは、おどるようにしてよろこびます。


 こうして今年の年末だけは、ねこもいっしょに年をこしたのでした。

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