ミアが空中で一回転して着地すると、青白いオーラに包まれたフィンが向かって来る!
「ギィン!ギィン!ギィン!」
「くぅっ!?わっ!?」
観戦客から見ても序盤と明らかに違う攻防が展開する!
序盤では互角だった二人の攻防が、今はミアの防戦一方になっていたのだ。
「な、なんなの!?」
急激に速くなった剣速と重みの増した一撃一撃に、ミアは遅れをとり動揺を隠しきれない。
「このまま押し切らせてもらうよ!」
そう言うと更にフィンの攻撃速度が上がって行く。
ミアの防御が追いつかず、身体に斬り傷が増え血が滲みだした。
「出でよ炎!そして爆ぜろっ!」
「ボムッ!」
「!?」
至近距離で放たれた特大の火球が、フィンに直撃!爆発して身体が宙に舞う。
放ったミアは後ろに転がり爆風を回避した。
フィンは吹き飛ばされ床に叩き付けられたが直ぐに起き上がる。
「やってくれるねミア。流石に今のは痛かったよ」
観戦客から観ていたシャナンが驚愕して言葉を漏らす。
「あれを至近距離で受けてピンピンしているとは…彼は本当に人間なのか?…」
隣に座っている剣聖七葉の副長ワイバードが口を開く。
「統括長の言う通り信じられないですな。魔物では無いにしても只者で無い事は間違いありません」
「ん…」
シャナンは口に手を当て、何か物想いに耽るように試合場へ目を向けた。
斬られた傷口が既に塞がりかけているミアが確認する。
「あなた、やっぱり世界樹と関係がある人なのね?」
フィンが笑みを浮かべて答える。
「ああそうだよ。どうやら普通の人間と違う特別な子らしい。認めたくは無いけれど、君も僕と同じ特別な子なんだろうね」
特別な子という言葉を聞いたミアは何かを考えていたが、試合に集中するように頭を切り替えた。
ナーシャとの闘いの最中で不思議な力を引き出した時のことを思い出し、目を閉じてイメージする。
そしてミアは呟いた。
「世界樹の力…解放」
「ボウッ!」
準決勝で現れた赤いオーラがミアの身体を包み込む。
「やった!出来た!」
その姿を見たフィンから笑みが消えた。
「もう自分で引き出せるようになったか…まあ、これでどちらが強いかはっきりするというものだ!」
フィンがミアに向けて駆け出し、ミアもそれに応じるかのようにフィンに向けて駆け出す!
「ギィン!ギィン!ギィン!」
またもや剣による攻防が始まった。
「氷よ凍てつけ!」
「炎よ猛ろ!」
互いの剣が各々の魔法により、氷の剣と炎の剣と化してぶつかり合う!
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