大声援が飛び交う中、試合場の中央に並んだミアとフィンの二人が、国王の居る方を向き綺麗に直立する。
そして、示し合わせたかのように同時にお辞儀をすると、アディア国王グラールが二人に向かって手を振った。
二人は頭を上げてサッと向かい合う。
いよいよ審判員がこの大会最後の試合開始を告げる。
「用意!」
ミアは銀の剣、フィンは鉄の双剣をそれぞれ構えた。
「始め!」
二人がほぼ同時に動き互いに向けて駆け出す!
「キイィン!キィン!キィン!」
初っ端から、互いの純粋な剣技による連続攻撃がぶつかり合い、火花がちるほどの激しい攻防が展開された!
ミアの剣の腕前はこの大会が始まる以前より遥かに上達していた。
その要因として、ミアは成長期にあり様々な技やスキルを吸収し易く、他者の試合を観戦して学んだこともあるが、やはり強敵との真剣勝負が格段に上達させていたのである。
だが、一方のフィンもそれは同じようなものであり、格段に成長、上達していることは間違いなかった。
観戦客の中には既に二人の動きを目で追えなくなる者も多数いる。
「ほう、これは見事だな。二人とも若いのにまるで剣聖同士の闘いを観ているようだ」
そう呟いたのは、今年で丁度50歳を迎えようとしている国王グラールだった。
呟きを聞いたシャナンが国王に話す。
「ええ、彼らの剣技は本当に見事としか言いようがありません。しかも他の選手に比べて若さもあり加速度的に強さを増しているようです。二人とも将来が楽しみな逸材ですよ」
シャナンは本心からそう思っていた。
「ガァキィーン!」
激しい攻防が剣の鍔迫り合いの形をなして止まる。
少しの笑みを浮かべてフィンが言う。
「ミア、力比べと行こうか!」
「受けて立とうじゃない!」
ミアは同じような表情を浮かべてそう返した。
力が拮抗しているのか1分以上の膠着状態が続くと、観戦客らが盛り上がり声援を送る。
「はっ!」
「だぁっ!」
二人が気合を同時に入れて剣を押し込む!
「ギィン!」
「くっ!?」
力と力のぶつかり合いで後ろに退かされたのはフィンの方だった。
「へっへーーん!力勝負はわたしの勝ちね!」
ミアにしては珍しくどや顔になっている。
「ハハッ、生まれてから一度も力負けしたことなど無かったこの僕が、たった一日で二人の人間に力負けするなんて。ハハッ、世界はやっぱり広いや」
負けたはずのフィンは何故か嬉しそうな顔をしていたのだった。
「仕方無い、ちょっと早いけど使っちゃおうかな」
そう言うとフィンはサカズキと闘った時のように剣を構えた。
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