大剣に押し込まれないように力を振り絞り耐えるフィン。
「貴方が気功術を使えるとは想定外でしたが僕の勝利は揺るぎませんよ」
「ああそうかい。この状況で良くそんな事を言えたもんだっ!」
サカズキが更に力を入れて徐々にフィンの腕が押し込まれ下がっていく。
そして、フィンの顔に大剣の刃が届かんとするその時!
「ガァツゥン!」
素早く後ろに身を動かすと大剣が空を斬り床を抉った!
フィンがそのままバックステップを数回繰り返しサカズキと距離を取る。
「ふ~、サカズキさんは中々のパワーの持ち主らしい。僕が力で負けるなんて初めてのことだ」
「その華奢な体つきであそこまで持ちこたえたお前のパワーも捨てたもんじゃねえよっと!」
サカズキが動きだし大剣による連続攻撃を繰り出す!
フィンが剣での防御と軽やかな身のこなしでことごとく連続攻撃を回避する!
その軽やかな動きを見てサカズキは疑問に思うことがあった。
最初に放った気功波はほぼ全力で放ち、相手も虚を突かれてまともにダメージを受けている。
気功波をまともに受けた者は暫く身体が思うように動かないはずなのだが、フィンの動きからは全くそれが感じられなかったからである。
「お前、気功波をまともに受けてなぜそんなに動ける?」
「僕は人より体力の回復が早い。ただそれだけのことですよ!」
フィンが攻撃に転じる一撃をサカズキの顔面に突き出す!
「!?」
「シュッ!」
間髪かわしたサカズキの頬を剣がかすりフィンの腕が伸び切ったところへ!
「波っ!」
「ドン!」
「ぐぅ!?」
気を込めた掌底打ちがフィンの脇腹を強打し身体が吹き飛ばされる!
「ズザザザーーーッ」
吹き飛ばされた身体は床を摺ってようやく止まった。
そこへサカズキが駆けて高く跳躍し大剣を突き立てる!
「ガッツーーン!」
フィンは横に転がって大剣による一撃を回避してスクッと立ち上がった。
息もつかせぬ二人の攻防に観戦席が大いに盛り上がる。
「サカズキさんもあいつも凄い!勉強にもなるなぁ…」
観戦していたミアはこの攻防に感動すらしていたのであった。
「っつぅ!気功波の攻撃はやっぱり痛いや。少しの間は痺れも感じるし、良い技ですね気功術って」
「そうだろ。だからこそ異国まで行って習得したんだよ。しかしお前、もったいぶってないで早く奥の手を見せてみろ」
余裕のある表情で話すサカズキに、フィンが不敵な笑みを浮かべて返す。
「僕も今そうしようと考えていたところですよ。やられっ放しにはもう飽きましたから」
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