女王様の言う通り、モディさんからエキスを摂りだす画を想像してみたけれど、拷問のようなシーンしか頭には浮かばなかった。
「話はこれくらいにして、あなた方に褒美を渡さなければなりませんね」
「あ、ああ。そうでしたね」
僕は微妙な内容の褒美だったため忘れてさえいた。
「ん、んんん…。あれ!?わたし寝ていたのでしょうか!?確か男の人魚を見たような…」
気絶していたミューさんが目を覚まし、キョロキョロしながら起き上がる。
「ミュー、寝起きで悪いのですが例の玉手箱をこちらへ持って来てもらえますか?」
起きたミューさんの疑問には答えず女王様が指示を出した。
「あの玉手箱ですね。承知しました」
ミューさんは返事をすると女王の間を出て玉手箱を取りに行った。
「玉手箱が届く前にもう一つの褒美である河童の情報を教えましょう」
河童に関する情報がなぜ褒美としての価値があるのか…
僕はいくら考えても現時点ではその価値を全く理解できなかったのだが、後々は日本において非常に貴重な情報となるのである。
「玉手箱を持って参りました!」
女王様から一通りの河童情報を聞き終わったところで、ミューさんが両腕で綺麗な玉手箱を抱えて戻ってきた。
「ミューご苦労様でした。キキさんにその玉手箱を渡してください」
女王様がそう言うとミューさんは玉手箱を僕に手渡しする。
「キキさん、どうぞ受け取ってください。でも注意点を一つ、この玉手箱は地上に戻るまで決して開けないでくださいね」
玉手箱を受け取ったが見た目の重量感とは違い、中身は空なのではないかと疑ってしまうほど軽かった。
女王様が微笑みを浮かべて僕と芹那に向かって話す。
「この度は海底都市の窮地を救っていただき本当に感謝しています。ここに居ない乙葉さんを含め海底都市にまた遊びにいらしてくださいね。救世主のあなた方ならいつでも歓迎しますよ」
「女王様に喜んでいただけたようで僕達も感無量です。またいつの日か、こちらに来ることがあればその時はどうぞよろしくお願いします」
僕と芹那は女王様に深々と首を垂れたあと、ミューさんと共に女王の間を出てテレポートボックスのある場所まで戻った。
「な、なんなのですか?これは!?」
テレポートボックスを初めて見たミューさんが驚く。
「これは僕が発明したテレポートボックスという瞬間転移装置なんです。僕達はこれを使って海底都市に移動したんですよ」
ミューさんと再会の約束を交わして、僕と芹那はテレポートボックスに乗り込みマンションへ戻った。
マンションに戻り乙葉に事の経緯を一通り説明したあと、玉手箱を開けるか否かを決めるための会議を開いた。
浦島太郎の話なども含め1時間ほど検討した結果。
全員一致で玉手箱を開封することに決定した。
芹那と乙葉の二人が後ろに立ち、僕が代表して玉手箱を開けたのだか…
天才にして天災の僕は時に旅人 第一部完
コメント