シャナンが魔法剣の基本とコツをミアに教え終わった頃には闘技場入りの時間となり、ミアは慌てて闘技場に向かった。
準決勝進出者の一人一人が闘技場に入る度に歓声が湧き上がる。
ミアとナーシャがほぼ同時に試合場の指定された位置に立つと、騒がしかった観戦客らも静かになった。
「用意!」
審判員の声に反応したミアが銀の剣を構え、ナーシャが鉄の剣と小型の鉄の盾を構える。
「始め!」
ミアがナーシャに素早く詰め寄り、体勢を低くし足を狙い剣を横に薙ぎ払う!
ナーシャがミアを飛び越えるようにしてジャンプしてかわす!
位置の換わった二人がサッと振り返り互いに走り出した!
「やあっ!」
「でいっ!」
「キィン!キィン!キィン!」
両者が次々に攻撃を繰り出し剣と剣が速く激しく何度もぶつかり合う。
余りの動きの速さに目で追いきれない観戦客も出始めた。
次の試合で待機中のサカズキが驚きの表情を浮かべ独り言をつぶやく。
「ほう、これは凄い。あの二人やばいくらい強いな…」
サカズキだけではなくこの試合を観ている誰しもが感じていることだろう。
フィンはただ黙って表情一つ変えずジッとこの試合眺めていた。
「ワーーーッ!」
観戦客らが突如一斉に歓声を上げる。
シャーナの鉄の盾をミアが銀の剣で強引に吹き飛ばしたのだ!
だがシャーナは盾が手を離れたことには動じず、右手に持つ剣でミアの喉元を狙って速い突きを放った!
「ビシュッ!」
紙一重でかわし切ったかに見えたがミアの首筋に切り傷が浮かび血が滲む。
「ガキィーン!」
次の手を互いが繰り出し剣と剣がぶつかったところで動きが止まり、鍔迫り合いのような形になった。
ナーシャが剣に力を込めながら少し楽しそうな表情で言う。
「こんなに楽しい闘いをするのは本当に久しぶり。あなたに感謝する」
同じように少しの笑みを浮かべミアが返す。
「ナーシャさんからそんな風に言われると嬉しいです」
両者が瞬間的に更に力を込めて押し合う!
「ギリィーン!」
ナーシャが数メートル後ろに吹き飛ばされた!
力勝負ではミアに軍配が上がったようである。
ずっと固まったように試合を観戦していたフィンの目つきが変わる。
ミアの首を見て異常に気付いたのだ。
「傷口の血がもう止まってる…」
そう呟き何かを考えていたようだが、試合を集中して観戦するように意識を戻す。
出血が止まっているのは事実であり、これは自然治癒能力が極端に高いミアの体質によるものだった。
ナーシャの表情が引き締まり呟く。
「風よ吹け」
魔法剣を発動させた。
「風の剣技!風衝進撃!」
1回戦でジャスカとの勝負を決めたあの技を繰り出したのである!
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