僕はミューさんに説明する前に女王様へ目配せする。
女王様は無言で頷き、ミューさんに説明する了解を得た。
「この人はコペンハーゲンの海に棲んでいた男の人魚のモディさんです。海底都市の窮地を救うために来てもらいました」
「お、男の人魚ですか!?…」
ミューさんは驚き白目になってそのまま気絶して倒れてしまった。
「ミューはそのままにしておいてください。それより三人ともこちらへ」
誘導されて女王様の正面に移動した。
女王様がモディさんに話し掛ける。
「先程のキキさんの話しに寄れば、あなたが男の人魚のようですね。遥々来ていただき感謝いたします」
モディさんが女王様に見惚れてデレデレしながら話す。
「こ、こちらこそです。ほあ~女性の人魚は初めてでついデレデレしてしまいますな~」
羞恥心は無いのか!?心の突っ込みを入れた。
女王様の表情はそんなモディさんを見ても何一つ変わらない。
僕は一応気になったので訊いてみる。
「女王様、何も問題はなさそうですか?」
「…キキさんは恐らく、この方で良かったのかどうかを心配されているのでしょうね。しかし心配は無用です。この方は男の人魚にしては随分とまともな方のようです」
「え!?」
僕は頭に釘でも刺さったのかと思うほど衝撃を受けた。
このモディさんでまともなのだとしたら、まともではない男の人魚って…
「モディさん、あなたはあちらの客間で休んでいただいていいでしょうか?人間のお二人に大事な話がありますので」
女王様が奥にあるドアを指差しモディさんを促す。
「あっちですね。ではお言葉に甘えて休ませていただきます」
そう言ってモディさんは奥の部屋へと入って行った。
「お二人はさぞ驚かれたでしょうけど、昔の男の人魚はあんなものでは無かったのですよ。この海底都市に男の人魚が居た頃は、毎日のように追い掛け回されて大変なものでした」
聞いていた芹那が腕組みしながブルブル震えて言う。
「お、悍ましすぎる生き物ね」
僕も女王様の話を聞いて人間の男で良かったと心から思ったものである。
「もしかしてそれが原因で男の人魚を追放したとか…でしょうか?」
「その通りですよ。どのように追放したかはあなた方のご想像にお任せします」
僕は自分なりに追放シーンを想像してみたけれど、残虐なシーンばかりが頭に浮かび想像するのを直ぐに止めて別の話をした。
「あの、良ければこの海底都市の繁栄に、男の人魚がなぜ必要だったのかを詳しく教えてください」
「簡単なことです。人魚の繁殖には男の人魚の身体から摂れるエキスが必須だからですよ。そのエキスの抽出方法は先ほどと同様あなた方のご想像にお任せします」
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