世界樹とハネモノ少女  「魔法剣」

世界樹とハネモノ少女

 準決勝進出者は各々が個室の控え室に戻り、30分の休憩時間に入って行く。

 ミアは次の対戦相手であるナーシャとの闘いをイメージし備えていた。

「コンコン」

 不意に控え室のドアをノックする音が聴こえる。

「はーい。どうぞ!」

 ドアを開けて控え室に入って来たのはシャナンだった。

「やあミア!予選から1回戦の試合まで全部観させてもらったよ」

「観ててくれたんだ嬉しい!どうだったわたしの闘い振りは?剣聖七葉統括長のご意見を聞かせて欲しいなぁ」

 シャナンは頷きニコリとして話す。

「うん、そうだなぁ。どれも素晴らしい闘い方で気持ちが良かった。ただ、今までの対戦相手との実力差があり過ぎて、ミアの実力が測りきれないっていうのが正直な感想かな」

「でもわたしが本当に強いって事は分かってもらえたんでしょ?」

「それはもちろんだよ。相手もそれなりに名の知れた手練だ。その人達を軽くあしらうミアの実力は相当なものだと思う」

「えへへ、ありがとうお兄ちゃん」

 アディア国最強の剣聖に褒められミアは照れていた。

 そんなミアの様子を見たシャナンが真剣な表情になって言う。

「でも、準決勝の相手は今まで通りにはいかないはずだ。ナーシャの強さは剣聖クラスと言って間違いない。だから気を引き締めて闘うんだよ」

 そう言われたミアの顔は素直に引き締まる。

「ちょっと教えて欲しい事があるんだけど訊いても良いかなぁ?」

「相手の弱点とかで無ければ何でも訊いて構わないよ」

「ナーシャさんとレグリットさんの使ってた技ってどうなってるのかな〜?と思って」

「ああ、あれか。二人が使ってた技は「魔法剣」と云われるもので、簡単に言うと魔法と剣技の融合技だよ」

 それを聞いたミアが残念そうな顔になる。

「魔法かぁ…剣の鍛錬ばかりで魔法は疎かにしちゃったなあ…」

「ん!?ミアは魔法を使えるのかい?」

「軽くなら使えるよ。今見せてあげるね!」

 ミアは椅子から立ち上がり、右手を前に出して掌を上に向けて言う。

「出でよ炎!」

「ゴオォッ!」

 掌の上に直径1mほどの大きな炎が現れた。

 それを間近で目の当たりにしたシャナンが驚ろく。

「これは軽くってレベルじゃないよミア。君は鍛錬なしでこんな炎が出せるのか?」

「うん、薪を燃やしたりはしてたけど鍛錬はしてないよ」

「そうか…鍛錬なしでこれほど…」

 シャナンはミアの底知れぬ素質に末恐ろしさを覚えつつあった。

「実戦でいきなり使うのは危険だけど、魔法剣のコツだけ教えておくよ」

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