スレイヴの年齢は謎だったが、その容姿から20代後半ではないかと推測される。
アサシンとう職業柄か影のある人間に見えた。
頬に大きな切り傷の痕があり、目つきも獣のように鋭い。
使用する武器は短剣2本、それを両手に持つ双剣スタイルである。
二人が試合場の中央に立ち、審判員が試合の始まりを告げた。
「用意!始め!」
互いが先制攻撃を狙って素早く前に詰める。
「キィン!キィン!キィン!」
先手を撃てたのはミアの攻撃スピードを上回ったスレイヴだった。
熟練された身の動きで流れるような連続攻撃をしてくる。
かつて人との戦闘において先制攻撃を許したことの無かったミアだが、動揺することも無く冷静に連続攻撃に対処できていた。
攻撃の手を緩めないスレイヴが言う。
「やるじゃないか小娘」
「攻撃の最中に余裕ですねスレイヴさん。でもわたしにはミアという名前がありますので覚えてくださいねっ!」
「ガッ!キィーン!」
言い終わると同時に剣で受け止めた短剣を強引に撃ち返し吹き飛ばす!
「なっ!?」
吹き飛ばされた短剣は地面に落ち、スレイヴは驚いてミアとの距離を取った。
観戦客らが盛り上がり、ミアへの声援が更に大きくなる。
「小娘の癖になんという力だ」
ミアが腕の力こぶを見せるようなしぐさをして笑顔で返す。
「こう見えてわたし力持ちなんです。あ、その短剣は拾って貰って大丈夫ですよ」
「…心配無用だ」
「ジャキン!」
スレイヴは残った右腕の短剣を腰にしまい、両腕の鉄の小手から短剣より長い固定式の剣を出現させた。
「これで剣が俺の手から離れることは無くなった」
「それ、恰好いいですね~」
ミアは半ば本気でそう言った。
「舐めるな小娘!」
スレイヴが素早く無駄のない連続攻撃を繰り出す!
今度は剣での防御はせずに、全ての攻撃を俊敏に避けるミア。
それを観ていたナーシャが呟く。
「あの娘凄いわね…」
隣の席に座っていたフィンがその呟きを聴いて笑顔でナーシャに話し掛ける。
「確かに凄いですよね。でも、あれくらいなら僕でもできますよ」
「…ふ~ん。そうなのね」
ナーシャはフィンを見てそう言ったあと、また試合の観戦に集中した。
攻撃を避けられ続けスレイヴは息が上がり動きが鈍くなっている。
それを狙っていたミアが相手の剣を狙って銀の剣を振り下ろす!
右腕の剣を見事に叩き折った!
剣を折られ、一瞬動きの止まったスレイヴの左腕の剣を狙ってまた振り下ろす。
「パキィーーン!」
同じように叩き折ってしまう。
止まらず流れるようにしてスレイヴの首筋に銀の剣を寸止めした。
ニコッと笑ってミアが言う。
「終了です。降参してください」
「…参りました」
審判が勝者ミアの名をコールすると観戦客から大歓声が湧き起こった。
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