「ミュー、あなたは早速この枝豆を病気の者達に渡してください。人間の方々には私からお願いしたいことがあります」
「承知しました。病気の者達がさぞ喜ぶ事でしょう」
指示を受けたミューは枝豆を背負って女王の間から出て行った。
女王様がこちらを見て話す。
「訊いているかも知れませんが私の名はシーアです。」
「自己紹介が遅れました。僕がキキでこっちが芹奈と乙葉です」
いつものように雑な紹介。
「キキ殿、折り入ってお願いしたいのは男性の人魚探しです」
「男性の人魚探し!?ですか?」
「そうです。この海底都市には男性の人魚が居ないのですが、実のところ100年ほど前までは男性の人魚もここに共存していました」
げ!?そうだのか…少し残念な気がする。
「現在、ここにいる人魚達は私以外ではその事実を知る者はいません。なので極秘に進めて頂きたいのです」
芹奈が話したいのかしゃしゃり出て質問する。
「その男性の人魚の居場所は大体の見当はついているのでしょうか?」
「正確な場所まで把握していないのですが、デンマークの首都コペンハーゲンの海域です」
海外やないかーい。
一応、心の中で突っ込みを入れておく。
「デンマークの首都コペンハーゲンといえば人魚姫のブロンズ像があって、昔は星型の人工要塞カステレットがあった場所ですね」
芹奈はなぜそんな事を知ってるんだ?
あとで芹奈に訊いたけれど、人魚を見たその日にネットを使って調べまくっていただけだった。
「芹奈殿は良くご存知のようですね。その周りの海域にここと同じような海底谷があり、奥深くの海底都市に男性の人魚が居るはずなのです」
もう一つの海底都市か…しかし今度は男性の人魚ばかりとはトホホである。
「分かりました。そのお役目、わたし達が必ずやり遂げて見せましょう!」
あ、勝手にまとめやがった。しかしまだ肝心なことを訊いて無いぞ。
しょうがない僕が訊こう。
「その男性の人魚を探し出したとして、その後はどうするのでしょう?あと、人魚の男性であれば誰でも良いのですか?」
「ここの人魚の繁栄に関係してる話しです。まずはこちらに永住可能な者、その中で出来るだけ容姿が良く頭の良い者を連れて来て欲しいのです」
やはりそういう事か…人魚の繁殖に関係しているらしい。
「なるほど分かりました。ところで、その願いを達成した場合は何かご褒美的な物はあるのでしょうか?」
男性人魚の海底都市に行くだけでは俺にメリットは無い。
これくらい訊いといても良いだろう。
「玉手箱を一つと、河童についての情報を褒美として教えましょう」
どちらも微妙なご褒美だった。
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