城下町ミシルにはアディア城へ続く一本道の大通りがあり、そこをミアは歩いて行きアディア城の門まで辿り着いた。
門の前には兵士が二人立っていて、片方の兵士がミアに問いかける。
「そこの者。用件と名を申せ」
「ミアと申します。この度は明日開かれる闘技大会の手続きに参りました」
闘技大会への参加申込みは、ペタリドから送った申込書により済んでいるのだが、アディア城側が参加者の到着を確認するため手続きが必要だったのである。
兵士が闘技大会参加者一覧を確認して言う。
「よし、中に入って左に受付がある。そこで手続きを済ませ戻るがいい」
「ありがとうございます」
門を通って言われた通りに進む。
受付のカウンターがあり、そこには女性が立っていた。
「あなたも闘技大会の参加者ね。ここに記名してくれるかしら」
「あ、はい!」
ミアが名前を書いているところへ受付の女性が話し掛ける。
「あなた若いわね。しかも華奢に見えるけど本当に出場するの?」
女性は心配して言ってくれたのだろう。
ミアは元気に応える。
「自分の腕を確かめてみたいんです。わたしこう見えて結構強いんですよ」
「そう、なら良いわ。でも危なくなったら躊躇せず棄権するのよ」
「お気遣いありがとうございます」
手続きの済んだミアが入って来た門に向かうと、扉が開き三人の男が場内に入って来た。
三人の内の一人が城内の階段の方へ歩く途中、ミアの存在に気付き歩み寄って声を掛ける。
「失礼、もしかして君も闘技大会に出場するのかい?」
「はい!そうです!」
後から近寄った男が話す。
「ほ〜勇気のあるお嬢さんだな。武器は何を使うんだい?」
ミアは腰に着けていた銀の剣を鞘ごと取って見せた。
その鞘を見た最初に声を掛けた男が驚きの表情をして言う。
「まさか君はセトさんの娘のミア?」
そう言われて男の顔をまじまじと見たミアがハッとする。
「ひょっとしてシャナン兄ちゃん?」
「そうだ。12年前ペタリドの魔物退治に行ったシャナンだ!」
「お髭を生やしてるから全然分からなかったわ」
「ああ、そうか。この髭は表面的な威厳を出す為に生やしているんだよ」
シャナンがウインクして言った。 三人の内最後に近寄った男がシャナンに言う。
「この子が統括長から何度も聞かされたペタリドの娘さんですか。折角だから俺達のことも紹介して下さいよ」
「聞かされたとは心外だな。まあ良い。ミア、こっちがアーダイン、でこっちがデュバル。一応二人とも剣聖七葉の剣聖だ」
シャナンの雑な紹介に、笑いながらアーダインとデュバルが手を差し出しミアと握手を交わした。 このあとシャナンに夕食に誘われたミアは、それを了承して別れたのだった。
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