天才にして天災の僕は時に旅人「有意義な時間」

天才にして天災の僕は時に旅人

 僕はヘッドホンに仕掛けてあった目覚まし音で目を覚ます。

 乙葉と芹奈も目覚め既に起きていた。

 テレポートボックスから外に出ると予定通り森の中に転移したようでホッと胸を撫で下ろす。


「海はあっちだけど二人はどうする?」


「キキは先に行ってて、私と乙葉さんは中で着替えて行くから」

 なるほど、僕は外で着替えろと言う事だな。 まあ当然と言えば当然なので、さっさと木に隠れて着替え先に海に向かう。

 森を抜けた先には広大な砂浜があり、海は太陽の光を浴びてキラキラと輝いて見えた。

 風もあったけれどそれがまた気持ち良さを増幅させる。


「たまらんな!この開放感!」


 山で山彦を試すような感じで思わず叫んでしまった。

 普段は部屋に引きこもって仕事や研究をしてるから、きっとその反動で益々気持ち良くなっているのだろう。


「キキ〜お待たせ〜!うわぁやっぱり本物の海は凄いわね!」


 水着姿の芹奈が元気な声を出して走って来る。

 その後ろから同じく水着姿の乙葉がゆっくりではあったけど走って来た。


「きゃっほーっ!泳ぐぞ〜!」

 二人とも走ったのを準備運動代わりにそのまま海へ飛び込んだ。


「冷たいけど気持ち良い〜!」


「来て良かったね〜乙葉さん!」


 お決まりのように海水を手で跳ね上げかけあいはしゃいでいる。

 因みに芹奈は赤のビキニ、乙葉は黄色ベースのワンピースの水着だ。


 僕も一応は正常な17歳の男子である。

 興味が無いと言えば嘘になるので、目の保養にはなるとだけ言っておこう。


 二人がはしゃいでいるのを見て悪い気はしないな。

 小中学校の頃は友達と遊ぶ事など片手の指で数えられるほどしか無かった。

 そんな僕が夏休みに友達と海で遊んでいる。

 楽しいという感情があり滑稽でもあるけれど、とても有意義な時間に感じられた。

 折角なので二人のはしゃぐ場所から少し離れて素潜りをする事にした。

 インテリに見られがちな僕だが、ろくろく運動もしないのに運動能力は抜群なのである。

 以前も話したが、身体の中に居る大嶽丸の影響であるのは間違い無い。


 潜って沖縄の海の素晴らしさを改めて実感する。

 海の中は視界も良好で、魚達が僕を怖がろうともしない。

 素潜りを続けていると魚の大群の裏に大きめの魚を見つけた。

 否、魚のような生物と言った方が正しいかも知れない。

 遠くにいるのでハッキリと認識出来ないのである。

 僕はその生物が何なのかと興味が湧き、泳ぐスピードを上げて近付く。

 途中で謎の生物が海面に向かって泳ぎ始めたので、それに合わせるように泳ぎ追いかけた。 

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