「母さんか父さんのどちらか家に帰り着いてる?」
「ええ、たった今わたしは着いたところだけど、お父さんの車は見えないわねぇ。そんなに慌てて何かあったの?」
良かったギリギリ間に合った。
「今から小桜を連れて行く。だから少しだけ待ってて」
「どういうこと!?キキもこっちに帰ってるの?」
母の反応は当然だろう。電話で話すより実際に見せた方が早い。
悪いと思ったが母の問いには答えず電話切った。
「小桜!もう帰るぞ!こっちに来てくれ!」
「今行くから〜!」
まだ3人で盛り上がっているようだったが小桜が返事をする。
このあとはテレポートボックスで実家に帰ったのだけれど、母は腰を抜かすほど、いや実際に腰が抜けて驚いていた。
詳しい話しは小桜に任せ、僕は母に軽く説明してマンションに単独でリターンする。
その夜は乙葉と芹奈で食事を作り、3人でテレポートボックスの完成を祝った。
突然始まる解説で申し訳ないが、テレポートボックスの動力はズバリ電気だ。
ニトロをや原子力のように危険なエネルギーは使用しない。
ただ莫大な量の電気エネルギーを必要とし、一般家庭に流れる電気量では到底罷り切れないのが現実だ。
ではその電気エネルギーをどうやって僕は調達しているのか?
答えは簡単、大嶽丸の力だ。
僕は常日頃から研究部屋で研究や仕事をしている。
その時間を利用して、自主制作した特別な蓄電池を横に置いて身体にプラグを繋ぎ、研究や仕事をしながら意図的に発動させた電気エネルギーを蓄えているのだ。
テレポートボックスの完成から3日後。
高校の夏休みの宿題を初日で全部片付けていた僕は、朝からプログラミングの仕事をこなしていた。
「ピンポーン」
今は仕事で手が離せない。
ダイニングキッチンで洗い物をしている乙葉に頼もう。
「乙葉〜、対応してくれ〜」
「OK!」
乙葉が呼び出しに対応して、暫くすると芹奈の声が聞こえた。
「お邪魔しまーす。あれ!?キキは?」
「今は仕事で手が離せないみたい」
朝からなんなんだ全く。
僕は仕事の手を休めず、ドアの向こう側にいる芹奈に話す。
「あと1時間待ってれれば相手してやるぞ」
「相手をしてやるとは失礼ね。まあ良いわ、今日はお願いがあって来たから許してあげる」
少し怒らせたようだが、こんなやり取りにはもう慣れていた。
順調に仕事が片付きダイニングキッチンへと向かうと乙葉と芹奈の2人が楽しそうに話していた。
僕の姿を見て芹奈が言う。
「沖縄に行くことに決定したわ」
「は!?」
藪から棒に何の話しをするのやら。
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