休憩を終えたパーティが山の奥へと進行する。
暫くして狩人達が異変に気付いた。
いつの間にか鳥や動物の鳴き声が聴こえなくなったのだ。
各パーティが警戒を強める。
更に300mほど進んだ時。
「ピーーーッ!ピーーーッ!ピーーーッ!」
右端のパーティのいる方向からけたたましい笛の音が鳴り響いた。
シャナンのパーティが素早く反応して右手方向に動いた瞬間。
「ピーーーッ!ピーーーッ!ピーーーッ!」
今度は逆方向の端から笛の音が響いた。
ピタッと走る脚を止めるシャナン。
右手方向を凝視して魔物を確認したあと即座に逆方向を凝視する。
「右はイヴァイが5匹、左はガーゴイルが8匹といったところか…左のパーティの応援に向かいます!」
素早く判断して4人は急ぎ応援に向かう。
ワッドの居る右手側のパーティは魔物と20m程の距離を置き睨み合いになっていた。
隣のパーティが素早く応援に駆けつけ、数的には8対5になっている。
「こいつらがイヴァイって魔物か?話で聴いてた通りでかい図体してるな」
「そうだ、でかいが動きは敏捷な奴だ。気を付けろ」
魔物の感想を言ったのはワッド、答えたのは昨夜バッガロで隣に座っていた隊員のバロック。
この二人は同じパーティに編成されていた。
隊員達は剣を構えて狩人達は得意の弓を構え、遠近両用の体制を執っている。
「先制攻撃を仕掛けて良いか?」
ワッドが痺れを切らしたのかバロックに訊く。
「ああ、号令を掛けるから待ってくれ」
この8人パーティになった場合の指揮はバロックが執る事になっていた。
全員の準備が整っているのを確認して叫ぶ。
「矢を放てーーーっ!」
狩人達が一斉に矢を放った。
2匹のイヴァイの胴体に命中して動きが止まったが、残りの3匹がパーティ目掛けて駆けてくる。
隊員達は狩人達の前に立ち鉄の盾を構えた。
3匹のイヴァイは隊員達を目掛け飛び掛かる。
激しい衝撃の鋭い牙を盾で受けきった。
だが噛み付いたまま盾を砕こうとして離れない。
狩人達が手に持つ武器を弓から鉄の斧に持ち替え頭を狙って攻撃する。
盾を噛み砕こうとしたイヴァイは頭の位置が固定されて狙い易かった。
「ギャイン!」
3匹は脳天に鉄の斧の直撃を受け呆気なく絶命した。
「よっしゃ!あと2匹だな!」
ワッドが勢い付く。
「最後まで油断は禁物!気を引き締めて行くぞ!」
「おお!」
バロックの呼びかけに全員が応える。
残りの2匹が間を置かずに突っ込んで来た。
隊員達が先程と同じく盾を構える。
だが2匹は学習したのか隊員達を飛び越え、後ろの狩人を狙って牙を剥いた。
「やられた!」と隊員達に焦りが生じた瞬間。
「ヒュンヒュン!」
弓矢で頭を撃ち抜かれた2匹が空中でバランスを崩し地面に叩きつけられる。
ワッドとアルという名の狩人が機転を利かせたのだった。
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