アクティビティ・コスト(Activity Cost:活動原価)
生産活動とか販売活動といったよ うに、何らかの活動をした結果として発生する原価。
安全性分析
企業は最終的に投下した資本の収益性を高める行動を選択し、高い経営成果を獲得しようと努めるものであるが、その背後にあっては常に財務上の安全性を維持する配慮が不可欠である。収益性と安全性は継続的に表裏一体の関係を確保すべき財務比率分析の2大指標といっても過言ではない。
安全性は、健全性、安定性、流動性などと同義的に用いられたり、広義・狭義の関係で使われたりする。
安全性は大きく2つに区分して考えることが効果的である。
○短期的な視点からの支払能力分析(流動性の分析)
○長期的な視点からの支払能力分析(健全性の分析)
流動性の分析ではある特定時点での資金支払能力を測定するもので、一般的には流動性比率、当座比率、運転資本保有月数などが用いられる。その他、キャッシュ・フローの状況に影響を与える受取勘定滞留月数や棚卸資産滞留月数などの分析もこの領域に含まれる。建設業では生産期間の長期性の特徴から、未成工事支出金と未成工事受入金の対応勘定があるが、この両者の比率もこの流動性分析に重要な関連をもつ指標のひとつである。
健全性の分析は、資本の調達とその運用状況を個別の指標によって分析するもので、自己資本比率、固定負債比率、固定比率などが用いられる。建設業では受注した工事関連の資金調達が重視されるために、資本全体「総資本」に占める割合すなわち自己資本比率が、他産業と比較して低く表示される傾向にある。また近年は、建設機械を自身で購入する事も無く、いわゆるリースを利用することが多くなったが、このような状況も財政の健全性分析に少なからぬ影響をあたえるなど、健全性分析は安全性管理の重要な要素の一つとなっている。その他、借入金依存度、固定長期適合性比率などもこの領域に含まれる。
いずれにしても安全性に係る分析は、貸借対照表の理解と深く関係している。
安全余裕率
損益分岐点売上高と予算や実績売上高の乖離具合を安全余裕の度合いということができる。すなわち企業は、損益分岐点から離れていくほどに安全性を高めるということになる。その状況を示す比率を安全余裕率(margin of safety)といい、安全率、MS比率などともいわれる。
安全余裕率は次のいずれかの計算によって求められる。
安全余裕率(a)=予算あるいは実績の売上高÷損益分岐点の売上高×100
安全余裕率(b)=(予算あるいは実績の売上高-損益分岐点の売上高)÷予算あるいは実績の売上高×100
実践的には分子に安全余裕の金額を示す(b)の算式を用いられていることが多いが、(a)の算式ではその結果が、100を挟んで利益企業と損失企業に区分することができる。
インタレスト・ガバレッジ(金利負担能力)
金利負担能力(倍)=(営業利益+受取利息及び配当金)÷支払利息
営業利益と営業外収益の中心である受取利息(配当金を含む)との合計金額が、他人資本のコストである支払利息を賄いきれているかどうかを判定する比率である。この比率が1未満の場合には、他人資本コストを経常的な利益以外の他の財源で負担していることを示している。つまり不安定な財務構造を意味する。
一般財団法人建設業情報管理センター(CIIC)
全国の建設業許可データの一元管理を目的とする業界団体。
因子分析法
因子分析法は数理統計学における多変量解析法を利用した方法のひとつであり、経営評価を構成する多様な情報をいくつかの主成分に分解して、各々の成分のなかでの情報の分布から各データを評点化しようとするものである。経審は、収益性、流動性、安定性、健全性の四つの主成分につき各々三つの分析指標と相関するという仮定の因子を選択している。
ウォール指数法
指数法とは数個の分析比率を選択し、そのウェートづけされたポイントの合計が100となるようにした標準比率を定め、これと分析対象の指数を比較して点数化し、100を上回るか否かによって、経営の良否を総合的に判定する方法である。これはウォールの開発した方法で、あえてウォール指数法と呼ばれることもある。
受取勘定(あるいは売上債権)
販売済み商品・製品等の代金未回収分をいう。建設業では通常、受取手形と完成工事未収入金をもって受取勘定と考えている。
受取勘定回転期間
受取勘定勘定回転期間(月)=(受取手形+完成工事未収入金+売掛金)÷(完成工事高÷12)
受取勘定回転率
受取勘定回転率(回)=完成工事高÷(受取手形+完成工事未収入金)
受取勘定滞留月数(月)(受取勘定月商倍率)
受取勘定滞留月数(月)(受取勘定月商倍率)=(受取手形+完成工事未収入金)÷(完成工事高÷12)
売上債権
受取勘定ともいう。得意先との通常の営業取引に基づいて発生した債権をさし,売掛金と受取手形とが含まれる。その増減および残高は企業の販売活動および回収状態を表わすから,経営分析上売上高と関連させて売上債権回転率として,その良否を判定する。
売上総利益
売上高からそれと対応する売上原価を差し引いた差額をいう。商品売買においては、粗(アラ)利益とも呼ばれ、企業の基本的な営業・管理活動を保全する利益概念である。建設業では、完成工事総利益と呼ばれる。
売上高経常利益率
売上高経常利益率=経常利益÷売上高×100(%)
この指標は金融収支などを含めた企業の経常的な収益力が、売上高に対してどの程度であるかを算定するものであり、数値が高いほど好ましい。
運転資本
企業の経常的な経営活動を円滑に遂行するために必要な資金を意味し、運転資金といわれることもある。
運転資本保有月数
運転資本保有月数(月)=(流動資産-流動負債)÷(売上高÷12)
正味の運転資本(運転資金)が企業の収益と対比してどの程度のものかを示す指標である。
営業キャッシュ・フロー
経常利益+減価償却実施額-法人税等+引当金増加額-売掛債権増加額+仕入債務増加額-棚卸資産増加額+受入金増加額
企業が営業活動によって実際にどの程度の資金を獲得したかをみるものであり、数値は高いほど好ましい。
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