原価計算の目的
○財務諸表作成目的
原価計算は株主・投資家など、企業外部の利害関係者が利用する財務諸表を作成するために必要な原価データを提供する
○価格計算目的
価格計算に必要な原価資料を提供する
○原価管理目的
経営管理者の各階層に対して、原価管理に必要な原価資料を提供すること
○予算管理目的
予算の編成並びに予算統制のために必要な原価資料を提供することをいう
○基本計画設定目的
経営管理者は企業の現状を調査・分析し、経営上の問題点を発見する
この問題点を解決するために多くの改善案の中から、最善策を選択する意思決定をしなければならない
原価計算は、この経営意思決定に必要な原価及び利益に関する情報を提供する
原価計算の種類
○原価計算制度
財務諸表作成や経営計画などの経常的な目的を達成するために、複式簿記と結合して常時継続的に行われる原価計算
・財務会計機構と結合した計算
・常時継続的
・配賦計算中心、会計的
・過去原価、支出原価中心
・財務諸表作成目的を基本とし、同時に原価管理、
予算管理などの目的を達成する
○特殊原価調査
経営意思決定を行うために、原価計算制度では使用されない原価概念(差額原価、機会原価など)を使用し、必要に応じて随時行われる原価計算
・財務会計機構のらち外で実施される
計算及び分析
・随時断片的、個別的
・比較計算中心、調査的、統計的
・未来原価、機会原価中心
・長期、短期経営計画の立案、
管理に伴う意思決定に役立つ
原価情報を提供する
○事前原価計算
工事原価の測定を請負工事前に実施し、実行予算作成を中心とする原価計算
○事後原価計算
実際にかかった原価の想定で、工事期間中に累積されていき、最終的に工事終了後に確定される原価計算
○個別原価計算
顧客の注文に応じて特定の財貨またはサービスを個別に生産、提供する場合に適用される原価計算
○総合原価計算
同じ規格の財貨またはサービスを連続して大量に生産、提供する場合に適用される原価計算
原価と非原価
原価計算制度において原価とは次の要件を満たすものでなければならない
○原価は経済価値(物品やサービスなど)の消費である
○原価は給付に転嫁される価値である
○原価は経営目的(生産販売)に関連したものである
○原価は正常なものである
非原価項目
経営目的に関連しないもの(営業外費用)
○次の資産の資産に関する減価償却費、
管理費、租税等の費用
・投資資産たる不動産、有価証券
・未稼働の固定資産
・長期にわたり休止している設備
○支払利息、割引料などの財務費用
○有価証券評価損および売却損
異常な状態を原因とするもの(特別損失)
○異常な仕損・減損・棚卸減耗・貸倒損失など
○火災・風水害などの偶発的事故による損失
○予期し得ない陳腐化等によって固定資産に
著しい減価が生じた場合の臨時償却費など
○固定資産売却損およぼ除却損
税法上特に認められている損金算入項目
(課税所得算定上いわゆる経費として認められるもの)
○特別償却(租税特別措置法による償却額
のうち通常の償却範囲額を超える額)
・特別償却(租税特別措置法による償却額
のうち通常の償却範囲を超える額)など
その他利益剰余金に課する項目
・法人税、所得税、住民税など
・配当金など
原価の具体的な分類
形態別分類
材料費:物品を消費することによって発生する原価
労務費:労働力を消費することによって発生する原価
外注費:外部供給用役を消費することによって発生する原価
経 費:物品・労働力以外の原価要素を消費する
ことによって発生する原価
機能別分類
材料費:主要材料費、修繕材料費、試験研究材料費など
労務費:直接作業工賃金、監督者給料、事務員給料など
経 費:動力用電力料、照明用電力料など
販売費及び一般管理費:広告宣伝費、出荷運送費、倉庫費など
計算対象との関連における分類
工事直接費(製造直接費)
一定単位の工事(製品)の製造に関して直接的に認識される原価
工事間接費(製造間接費)
一定単位の工事(製品)の製造に関して直接的に認識されない原価
操業度との関連における分類
操業度の変化に比例して発生しているかどうかという視点から変動費、固定費に分類すること
管理可能性にもどづく分類
一定の階層の管理者にとって管理可能か否かという視点から管理可能費と管理不能費に分類すること
発生源泉別分類
原価管理(コスト・マネジメント)のために、原価をその発生源泉の視点から分類する基準
アクティビティ・コスト(業務活動費)
製造しなければ発生しない原価
キャパシティ・コスト(経営能力費)
製造や販売活動をしなくてもキャパシティ(製造販売能力)を準備維持するために一定額発生する原価
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