僕達の世界線は永遠に変わらない [第一部 最終話]

僕達の世界線は永遠に変わらない

匡は音速を超える衝撃波にもちろん備えていた!両の掌を前方に突き出し能力を発動する!

「真空崩壊!消えてしまえ!」

「バッシュン!!」

 カラハグが全力で放ったクロウインパクトは、匡の能力によりかくもあっさりと掻き消された!

「っ!?」

 直後!匡の背中に悪寒が走る!

 技を放った直後。カラハグは信じられない速さで駆け出し間合いを詰め、技が掻き消された瞬間が目隠しがわりとなった時に長身の身体を極限まで低くし、匡の足元まで接近していたのである!

「見事!だがこれで終わりだ!」

「ズボォッ!!!」

 カラハグが心臓を狙い下から手刀を斜めに突き出し匡の身体を貫いた!!

「グフッ!」

 匡が堪らず口から大量の赤い血を吐き出す!
 勝利を確信したカラハグが匡を貫いたまま腕を上げ高らかに笑う。

「カッカッカッ!!我の勝ちだ!」

「ガシッ!」

「むっ!?」

 嬉々として勝ち誇るカラス王の右腕を、匡が朦朧とする意識の渦中で力強く掴んだ!

「滑稽だなぁカラス王カラハグ。残念ながら僕はこの程度じゃ死なない。大丈夫、楽に殺してやるよ」

「カァッ!!?」

 心臓を貫いて即死させたと思い込んでいたカラハグが驚愕の表情を浮かべ、匡の首を叩き折ろうと必死に左拳を振りかぶった刹那!

「真空崩壊、砲」

 掠れた声を出すと同時に匡の右拳がカラス王の顔面を捉えた!

「ヴォッ!!」

 匡の能力は「消滅」である。
 敵の頭に直撃した場合、断末魔をあげる間もなくこの世から消えて無くってしまう。
 圧倒的強者のカラハグとて漏れなく例外には至らない。
 直に拳の触れた頭は真っ先に消滅し、そのまま連鎖して身体の細胞一つ残らず消えてしまった。

 カラハグが完全に消滅したことにより、上に持ち上げられていた匡が引力の原理で地上へ落ちる。

「ドサッ!」

「っと!」

 しかし匡の身体が地面に触れることはなかった。瞬間移動した飛鳥井が両手でしっかり受け止めたのである。

 大量の血を流し、匡の青ざめた顔を見ながら話し掛ける。

「前もって言っておくが返事は不要だ…匡、よく頑張ったな。君は俺達全員の命を救ったんだ。代表して云わせもらぞ…ありがとう匡」

 匡は黙ったまま微かに笑みを浮かべ頷いた。

 こうして人間VSカラスの構図を呈した壮絶な戦いは幕を閉じのである。

 
 戦いのあと、飛鳥井さんと柴門さんで仲間全員の安否を確かめ、一人も欠けることなく生きていることをメンバー全員が喜んだ。

 僕はといえば、最期の戦闘で重症を負ったにも関わらず、その夜までにはすっかり元通り治ってしまった。いやいや、僕の自己治癒能力も大したものである。

 その後暫くは、平穏になった住宅街のアジトで僕達は過ごしていたが、あることを切っ掛けに首都だった東京へ向かうことになる。

 何とか辿り着いた東京でさらに激しいバトルが展開するのだが、それはまたの機会に…

 兎にも角にも、「神の戒告」よって様変わりしてしまったこの地球上で何としてでも生き延びようと思う。

 僕達の世界線は永遠に変わらないのだから…


[第一部 完]

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